あきる野の地で50余年 浅野養鶏場 東京食材としてファンを広げる 新鮮な卵と元気な東京しゃも生産
あきる野市菅生の浅野養鶏場(浅野良仁園主)は生みたて卵と東京しゃもを生産する。いずれも東京食材としてファンを広げている。
鶏舎には純国産鶏と東京しゃもがそれぞれ5000羽育っている。卵は1日150㌔収卵する。直売するほか、秋川ファーマーズセンターに出荷される。東京しゃもは同センターなどで販売されている。
府中市で、12人きょうだいの末っ子として育った浅野さん(81)は、学校を卒業後、父親が飼っていた120羽のニワトリとともに養鶏家としての道を歩み始めた。小児科医の長兄がインターンのとき、論文研究でニワトリの飼育を手伝った経験も影響した。
おいしい卵をつくるために独自の探求を始めた。養鶏のノウハウを知り、経営の上でも見通しがついた1964年、3年かけて探し当てた菅生の地に移転した。
新しい土地は、北には冷たい風を防ぐ山、南には開けた田んぼ、水はけがよく、栄養豊富な土壌、夏は涼しく冬は暖かい理想の土地だった。浅野さんはここで、日本の気候風土の中で改良された純国産鶏のゴトウ360に、合成アミノ酸などの添加物を使わない自家配合飼料を与え育てている。
東京しゃもも市場を拡大している。あきる野、青梅、立川にある4カ所の養鶏場で組織する東京しゃも生産組合の組合長を任される浅野さんは「これ以上のシャモらしいシャモはない。その魅力、うま味を味わってほしい」と話している。
工業的な農業が中心となったこの時代にあっても、人の目で管理し、人の手で卵を採り、人のまごころで育てる。浅野養鶏場はそうした精神を大切にし、新鮮な卵と元気な東京しゃもを生産している。(岡村)