あきる野で中国茶カフェが話題 リーズナブルに上質のお茶を 「地域の人が集う場に」

SONY DSC あきる野市五日市で先月4日、中国茶カフェ「献茶」(藤原敬士店主)がオープンした。上質なお茶と身体に優しい自家製茶菓子を気軽に楽しめる場として、話題を呼んでいる。
同店でのお茶の楽しみ方は2種類。店奥のカウンター席では、店主の藤原さん(42)がおすすめのお茶を淹れてくれる。値段は500円とリーズナブルで、何煎でも味わうことができる。またテーブル席では茶葉と茶器を借り、自分でお茶を淹れ味わうこともできる。
藤原さんが大切にしていることは「一人ひとりのお客さんに丁寧にお茶を淹れること」。そして「その心に適う茶葉であること」。茶葉は中国の農家から直接仕入れており、「飲んだ人の身体や心が喜ぶ茶葉を自信を持って提供しています」という。
藤原さんは大学院時代、200~300年前の中国茶の貿易などについて研究。中国・広東省広州市に留学した際、茶葉の市場に入り浸ってお茶を飲みおいしさに感銘を受けた。その後、博士号を取得し大学の非常勤講師を務めるなど研究者の道を歩みつつ、5年前にあきる野市高尾に転居。「お茶のおいしさを知ってほしい」と地域のイベントなどで茶葉を販売するなどしてきた。
転機が訪れたのは4年前。進行した大腸ガンが見つかり大手術を受けた。それでも昨年、著書『商人たちの広州 一七五〇年代の英清貿易』(東京大学出版会)を出版。しかし同年、ガンが再発し、再度の闘病を余儀なくされた。家族の勧めもあって現在は治療により克服したが、それらの経験から「人間は普段から心身ともに癒やされる必要がある」と痛感し、その一助になればと自宅のそばで中国茶の店を開くことを決めた。
広州市では毎朝お茶を飲みながら軽食を食べる「飲茶」の習慣があった。「近くに住むおばあさんやおじさん、多世代で一つのテーブルを囲んで、おしゃべりをしたり新聞を読んだり。思い思いの時間を過ごして仕事に行く。それがすごく楽しかった」と藤原さん。「この店も地域の皆さんが気軽に集まり、一息つける場になれば」と話している。
自分でお茶を淹れるテーブル席利用の場合、茶葉の料金(380円~)。複数人で訪れれば席料一人200円でシェアしても良い。マイカップ・ボトル持参でテイクアウトも可能。茶葉の販売もしている。
営業時間は午前9時~午後6時。木・日曜定休。問い合わせは042(588)5508まで。(佐々木)