無農薬・無肥料に挑戦 固定種、イタリア野菜を栽培 ゆっくり農縁の石川さん

あきる野市山田の畑約350坪で、固定種野菜とイタリア野菜をメインに無農薬・無肥料で育てている石川敏之さん(62、八王子市並木町)。「ゆっくり農縁」の屋号で、野菜の生産のほか野菜の飲食店への配送、映画上映会の企画運営などを行っている。

SONY DSC
珍しいイタリア野菜のカーボロネロ

石川さんは2013年まで33年間、生活協同組合コープみらいで働いていた。転機はその前年、環境=文化NGOナマケモノ倶楽部のブータンへのツアーに参加し、明治学院大学教授の辻信一さんに出会ったこと。効率優先ではなく、命や自然、人とのつながりを大切にしたスローな社会の大切さを強く意識するようになった。
コープみらいを早期退職し、自分の進む道を探る中で偶然出合ったのが現在野菜を育てている畑。縁あって一昨年10月から借り始め、昨年から本格的に栽培を始めた。
現在は亀戸大根、津田かぶ、山内一尺人参、日本ほうれん草など少量多品種で栽培していて、国内で古くから育てられてきた固定種野菜と呼ばれるものがメイン。地域で代々継がれた種から育った品種で、土地の気候・風土に合っているため、農薬や肥料を多用しなくても育つといわれている。栽培はほぼ自己流で、この土地に合った作物は何なのか探りつつ育成している。
また近隣の飲食店の需要に合わせ、カーボロネロ、カリーノケールなどのイタリア野菜も栽培。近隣では檜原村本宿のイタリアン、ヴィッラ・デルピーノへイタリア野菜を定期的に届けている。
「食べることは生きること。食べるものによって考え方も行動も変わる」と石川さん。食の大切さを映像でも伝えたいと月1~2回、食やライフスタイルをテーマにした映画の上映会を企画。現在は八王子市内をベースに開催しているが、「野菜を通じてあきる野近隣で人とのつながりに恵まれている。今後はあきる野でも開催していきたい」と意欲的だ。
ゆっくり農縁の畑は随時見学可能。収穫したての野菜を買うこともできる。問い合わせはshiraz.toshi.96★gmail.comまで。(佐々木)

★は@に変換を