「トタン建築美学」写真展 檜原の森さん、瀬音の湯で
「トタン建築美学」と題し各地のトタン建造物の写真を集めた展示が、あきる野市乙津の秋川渓谷瀬音の湯で今月末まで行われている。副題の「トタンという人工物が、時間というアーティストの光・風・雨という技により、美に変えられた」を頭に入れて眺めると、なるほど納得のいく面白さがある。
撮影者は檜原村中里の森満也さん(67)。古い石塔や石仏、歴史ある街並みが好きで、カメラを持ってよく地方を訪ねる。その際、トタン建造物の味わいのある美しさに気付き、以来、意識的に撮り続けてきたという。
トタンは軟鋼板に亜鉛メッキした建築資材。「もともとは味気ない素材ですが、ペンキの剥げ具合などで規則的な模様ができ、音楽で言えば繰り返しで少しずつずれるカノンのような面白さがある。そこにひかれます」と森さん。
多くの人が何気なく目にする物事の中に面白さを発見し、被写体にすることが多い。これまでに石塔の一種「二十三夜塔」や「佐渡の能舞台」をテーマに写真展を開いた。(伊藤)