住民の防災意識格段に高まる 昨年度避難地図を作製 青梅市黒沢2丁目第1自治会 台風19号で土砂崩れ、川は氾濫寸前 自主避難者も

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日本赤十字社看護師の筆内さんの話を熱心に聞く住民たち

昨年度、都のモデル事業として避難地図を住民主体で作製したのが青梅市小曽木地区とあきる野市網代地区。住民代表が地域を歩き現状に即したものにした。先月12日の台風19号でどう役立ったのか、新たな課題が見えたのか、黒沢2丁目第1自治会会長の水野剛史さん(67)と前会長の山﨑茂さん(62)に聞いた。(岡村)

同自治会では避難地図の作製後、自主的に避難行動計画を作った。これにより、何よりも住民の防災意識が高くなったという。
台風19号の大雨で同地区では黒沢川や川に流れ込むいくつもの沢が増水。氾濫寸前となった。12日の午後3時半ごろには土砂崩れが発生した。
午前中から地域を見回っていた水野さんは、地元自治会館を避難所として開けた。「自治会館は正式に避難所に指定されていないが、毛布があり、翌日が運動会だったので多少の食糧があった。夕方までに10世帯22人が避難した」と水野さん。
住民の中には市の避難所となっている市役所に行った人もいた。ただ、市役所に通じる成木街道はその後、根ヶ布で土砂崩れが発生。不通になった。午後9時から1時間ほど停電も発生したという。
山﨑さんは「黒沢1丁目では越水があった。小曽木3丁目辺りは道が川になっていた」と振り返り、避難地図と避難行動計画を体で確認しておくことの大切さを痛感したという。
同自治会では先月27日、同自治会館で秋の自治会行事を開いた。マンドリン演奏を楽しむ前に、赤十字減災セミナーを開いた。小学生を含め50人が参加した。
日本赤十字社東京都支部救護課看護師で講師を務めた筆内理子さんは「首都直下地震は7年前に今後30年以内に80%の確率で起こると発表された。残念ながら天災は必ず来る。だから備えが大切。今日は備えという言葉を20回以上使います。天災は免れないが、事前の準備で被害を最小限にするという減災はできる」と呼び掛けた。
「発災直後、救急車などは通常のようには駆け付けられない。自助が7割、共助が2割、公助は1割と考えられる。皆が応急手当の方法を身に付けることが求められる。公的な救援はすぐに来られないが、絶対に来る。それまで自助、共助で持ちこたえてください」と訴えた。この後、ハンカチなどを使い応急手当の実技指導が行われ、誰もが真剣な顔で手を動かしていた。
話に先立ち水野さんは「今回の台風で、地域では幸い直接的な被害はなかったが、川の土手が崩れ、一人での見回りは危険だということを実感した。災害に負けないために自助、共助の力を高めていきましょう」と呼び掛けた。