ローカル路線存続に活路 路線バスで宅急便運ぶ 西東京バスとヤマト運輸が連携 ドライバーの負担軽減 CO2削減で環境に配慮
西東京バス(本社・八王子、井上晋一社長)とヤマト運輸(本社・中央区、栗栖利蔵社長)が手を結び、あきる野市と檜原村を結ぶ路線バスで宅配の荷物を運ぶ実証運行が1日始まった。
ヤマト運輸が各地の公共交通機関との連携で取り組む「客貨混載」輸送。2011年に京都府の嵐電との連携で始まり、現在全国の17地域で実施されている。路線バスとの連携は都内では初の試みとなる。
西東京バスが運行する武蔵五日市駅~数馬のローカル線は、あきる野~檜原の唯一の公共交通機関であり、地域住民にとって重要な交通手段だ。だが人口減などの理由で今後さらに利用者が減り、路線の維持が難しくなることが予想される。一方、ヤマト運輸は檜原村に宅配便を届ける際、同市小中野の五日市センターと現地を多い日で1日3往復(片道40分)しており、ドライバーの負担軽減と再配達への迅速な対応が課題となっていた。互いに連携することで両者の課題解決につながる。
実証運行では、路線バスの車内に80サイズ(幅、奥行き、高さの合計が80㌢以内)の荷物が3つ収まるボックスを設置。五日市センター近くのバス停でヤマト運輸のスタッフが車内ボックスに荷物を積み込み、運転手に行き先を伝える。荷物は指定のバス停まで運ばれ、待機していたドライバーが受け取って各家庭に届ける。宅配車の走行距離が減り、CO2削減にもなる。
1日、西東京バス五日市営業所第一車庫であった出発式では西東京バスの井上社長、ヤマト運輸西東京主管支店の中尾哲也支店長、坂本義次檜原村長らがテープカットを行った。
実証運行は今月1カ月間、平日午後1時台の便で実施する。その後、課題を検証し、来年の本格運行開始を目指す。(伊藤)