台風19号の被害、 写真で記録 増戸を知る会 中村さん
あきる野市伊奈の中村清作さん(70)は、同市増戸地区での台風19号の被害状況を写真に収め、B5判55ページの冊子を作った。かつてない被害の様子を記録に残さねばという使命感から「命がけで取材した」渾身のルポルタージュだ。
中村さんは、地域を学ぶ有志の集まり「増戸を知る会」に所属。綿密な取材により地域の歴史や自然を手書きの冊子にすることをライフワークとしてきた。今回の台風で自分が生まれ育った増戸地区の山田、網代などで大きな被害が出た。「今この状況を記録することが自分の使命」と台風翌日の先月13日早朝から取材を開始した。
冊子には、山田地区で土砂の中に突き刺さるように落ちた車、激流により接続部に亀裂が入り傾いた網代橋、小机の土砂崩れ、三内下の川に削られた岩など衝撃の写真が並ぶ。添えられたコメントにも臨場感がある。
取材を通じて中村さんは、水の怖さを思い知らされたと同時に、自然に対して人間がどうあるべきかを深く考えさせられたという。「強い堤防を作れば、水は堤防を乗り越えて弱い部分を破壊する。山を削って平地にしたところでは崖崩れが起きていた。人間の都合でどこまで自然に手を入れていいものか…」
冊子の問い合わせは090(6310)4117まで。(伊藤)