檜原に松姫ふたたび 劇団歴史新大陸 「檜原城に姫来る・武田の松姫物語」 人里の「天空の舞台」で5月上演

檜原村人里のもみじ山山頂に昨年秋に完成した「天空の舞台」で5月16、17の両日、「檜原城に姫来る・武田の松姫物語」(仮題)が上演される。武田家滅亡の際、松姫(1561~1616)は奥多摩の山を越え八王子に落ち延びた。同村にも足跡が残されており、劇では生きることを選んだ松姫の覚悟や村人との交流、歴史の悲哀などをエンターテイメント性豊かに描く。(岡村)

演じるのは劇団歴史新大陸(後藤勝徳代表、杉並区)。2008年の旗揚げ以降、主に古事記に記された神話の時代から明治維新まで歴史舞台演劇を手掛け、これまで「真・信長公記」「古事記‐日本の始まりの物語‐」「新撰組哀歌」などを上演し、注目が高まる気鋭の劇団だ。
劇の題材を求め地域の歴史を調べて回る後藤代表が、同村に興味を持ったのが昨年6月頃。9月の祭りを見に人里を訪れた際、人里もみじの里委員会の井上佳洋さんや檜原村松姫研究会世話人の吉本昂二さんらと出会い、天空の舞台を建設中との話を聞いた。
豊かな自然と長い歴史を持つ同村に魅力を感じていた後藤代表は、同村に縁の深い松姫を主役にした演目を天空の舞台で上演したいと閃いたという。11月には同委員会関係者らに集まってもらい、構想を説明。5月の上演が決まった。
自ら演出を手掛ける後藤代表は「檜原村の人たちの温かいもてなし、人柄を考えた時、松姫もまたこの地で手厚く保護されたに違いないと思うようになった。心温まる交流を物語の軸にし、葛藤を乗り越え、生きる道を選んだ松姫の気高さを若い世代に伝えたい」と意気込みを語っている。
主役を務めるのは3年前に上演した「信玄の娘たち」で松姫を演じた美結さん(16)。檜原城主平山氏重を後藤代表、平山家家臣志村仁左衛門を奥村元洋さん、同家臣吉野九郎右衛門を西脇ケンイチらが演じる。
高校生ながらこれまで8本の劇に出演してきた美結さんは「松姫役をとてもうれしく思います。13歳の頃に松姫を演じ、16歳になった今、もう一度松姫を演じられることは何か不思議な縁で、使命だと感じています。なぜ松姫は生ききることを選んだのか、皆さんに伝え、勇気を与えられたらうれしい」と話している。
上演に当たっては幼い姫役などとして地元の子どもたちや大人に出演してもらう。来月8日のオーデションに向け今月いっぱい募集を行っている。詳しくはウェブ上「れきしん」で検索。上演時間や前売り販売の窓口などは詳細が決まり次第発表する。