文化庁 国の登録有形文化財に 青梅市の「津雲邸」と「河鹿園」 市の観光発展に期待

青梅市住江町の昭和初期の建築物「津雲邸」と同市御岳の「河鹿園」が、国の有形文化財に登録される見通しとなった。19日、文化庁が文化審議会の答申を受けたことを発表した。同日の発表で国の重要文化財に指定されることになった同市塩船の塩船観音寺の十一面千手観音像と二十八部衆=先週号既報=を含め、同市の観光発展に寄与することが期待される。(岡村)

津雲邸は昭和初期、約700坪の敷地に代議士の津雲國利が建造した広さ約300平方㍍の大邸宅。主屋と住宅門、住宅塀が登録される。木造瓦ぶき2階建てで、外観は純和風の入り母屋造り。中は玄関、居間、書院、水屋など随所に粋と贅を尽くし、匠の技が駆使されている。友待所と茶室も併設。日本庭園や茶室を備えたたたずまいは「昭和の桃山建築」と評価する声もある。
御岳渓谷に大正時代から続く河鹿園は2017年春、旅館の営業をやめ、趣のある床の間や欄間を備えた客室に書画などを飾る「旅館建物室礼美術館河鹿園」に変わった。
開業当初に遡る帳場兼主屋、落ち着いた造作の数寄屋座敷である山魚楼、床柱や落とし掛けの磨き丸太が目を引く渓梅庵、上質な客室棟で奥多摩観光の隆盛を伝える枕流亭、独創的な造作を用いる射山荘、多様な趣を備えた大浴場、枕流亭と大浴場を繋ぐ渡廊下、枕流亭の中庭に建つ稲荷社の8件が登録される。いずれも大正の終わりから昭和にかけて整備された。
なお、登録基準は、「原則として建設後50年を経過し」かつ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」「造形の規範となっているもの」「再現することが容易でないもの」などとなっている。
今回の答申によれば、長野県の善光寺の仁王門、京都市美術館本館、大阪府の太陽の塔なども有形文化財登録される見通し。