昔ながらの味噌づくり 上羽生家の味噌蔵で熟成

日の出町大久野の通称、上羽生家で3月22日、昔ながらの味噌の仕込みが行われた。味噌づくりは毎年冬の恒例行事。地元で米づくりや自然体験活動のほか、環境保全などに取り組むNPOヘリテイジ・トラストの林陽一さん(40)ら子どもを含め15人が参加した。

新潟産の大豆を茹で、瀬戸内の天然塩、米麹を調合し、昔から日本各地で行われてきた製法で仕込んだ。仕込んだ味噌は蔵で1年間寝かせ熟成させる。昨年仕込んだ味噌が完成する時期と重なる。

今年の仕込みは2月と当日の2回行われ、大豆計26㌔、同量の米麹、約10㌔の塩が使われた。

大釜で大豆を茹で、同家にある味噌切り機で粗いペースト状にしたほか、粒の感触を残すため、半分は臼で粒にした。これに麹と塩を混ぜ合わせ、ビニール袋に入れて樽に詰めた。

塩の量は強めだが、麹が多いので、まろやかな味噌に仕上がる。同家の味噌蔵には年ほど経った味噌も保管されており、蔵の中の酵母菌が良い味噌を育ててくれる。

同NPOは活動を開始して12年ほど。同家所有の田んぼなどを使い、コシヒカリの栽培に取り組むほか、一般や高校生らを対象に農業体験を開き、農業や生活文化を伝えている。こうした活動を通し、環境を保全している。

同家は戦国時代に北条家に仕えた豪族。屋敷は明治年の大火、大久野焼けで残った江戸時代からある3つの蔵、主屋、薬医門などがあり、往時をしのばせる。(岡村)