檜原村、ドライブ客で混雑 緊急事態宣言の効果虚しく 都民の森はトイレ、駐車場使用不可に

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他地域ナンバーの車が目立った下元郷トイレの駐車場

新型コロナウイルス感染防止を図る国の緊急事態宣言を受け、休業要請の対象となった大型ショッピングモールや夜の繁華街では人出が激減した。一方、自然豊かな西多摩の観光スポットには都心部などから人が集まる傾向にある。

地元の商店や住民からは「ウイルスが持ち込まれるのではないか」と不安や困惑の声が聞こえる。緊急事態宣言後、初めての週末となった日、檜原村では払沢の滝や6000万円のトイレがある下元郷の駐車場は品川、練馬、世田谷など他地域ナンバーの車で混雑した。都民の森方面に向かうバイクや自転車も多く見かけた。

払沢の滝近くのとうふ店「ちとせ屋」には、1月末辺りから週末の来店客が増えた。店主の高木健一さんは「滝が凍ったわけでもないのになぜ?と思ったが、お客さんに聞いてみると、ウイルスを避けて人の少ない場所に来ているようだ」と困惑気味だ。

都が週末の外出自粛を呼びかけた3月末の土日も滝の駐車場は満車で、店も混み合った。本来なら喜ばしい事態だが、小さな店に人が密集すれば感染リスクが生じる。高木さんは「店が開いていれば、そこを目指して人が来てしまう。営業を続けることで感染を広めるような事態は避けたい」と4月2日から自主的に店を閉め、卸し売りのみの営業に切り替えた。今後、様子を見ながら村内向けの店頭販売は再開したいという。

緊急事態宣言後、都民の森ではトイレ、駐車場を使用できないようにしているが、檜原に来るドライブ客は減らない。「マイカーで来て、誰とも接触せずに帰るのだから安全だろう」という声もあるが、「来た人が使うトイレのノブは安全か」「利用した飲食店での感染リスクはないのか」など地元住民の不安は消えない。

この調子でいけば5月の大型連休は更なる混雑が予想される。村内の感染者数はゼロを保っており、ウイルスを入れないために「村を封鎖すべきだ」という声も出ている。
なお、檜原を含む秋川渓谷の玄関口にあたる武蔵五日市駅前の観光案内所は当面、窓口での案内業務を取りやめている。(伊藤)