あきる野市寺岡地区 4軒に1軒が移住世帯 居心地いい 関係とは?

あきる野市西部の山間集落、寺岡

あきる野市養沢の寺岡集落(世帯数22)は、この5年で6軒の移住世帯を受け入れている。実に4軒に1軒を超す割合だ。移住者が増えた状況を地元の人はどう見ているのか。移住者と接する心構えは。地元で聞いた。(伊藤)

寺岡はあきる野市西部の山あいの集落。樹齢400年の大杉で知られる五柱神社を中心に、比較的狭い範囲にまとまって住宅がある。

移住世帯は30代~50代で、もとから住んでいる人たちとは親子ほど年の差がある人も。外から来た人は面倒見のいい前自治会長の市倉優さんらと接し、「何かと気にかけてくれるのがうれしい」という。

移住者に対する地元の人のスタンスは「詮索はしない。でも困ったことは助け合う」。地元の沖倉時代さんは「来た方は自由で個性的な方が多いが、普段何をしているかはあまり気にしない」という。ただ、地域の行事や清掃など自治会活動への参加は、強制はしないが、「出られるときはお願いね」と伝えてある。

逆に移住者の困りごとには地元の人が協力する。仕事で留守の多い杉拓也さんから飼っているヤギの世話を頼まれ、時代さんら有志5人で継続的にヤギの面倒を見るグループができた。

「皆さんできることは快く手伝ってくれる。こちらも困ったことは手助けする」と時代さんは緩やかな協力体制を好ましく感じているという。

移住者に地域の祭りの担い手も任せる。杉さんなどは時代さんの夫で神社の役員や自治会長も務めた昭男さんに誘われ氏子になった。

この寛容さはどこから来るのか。根底にあるのは「この地が明るく、元気になればいい」という思いだ。地域を担うのは60代。子どもたちは集落を出ており、このまま皆が年をとって空き家が増えれば、集落が消滅するのではないかという危機感が強い。

移住者と接する上で地元の人が大切にするのは、適度な距離感と互いを尊重する姿勢。開かれた土地には自然と人が集まる。