阿伎留神社例大祭 勇壮な神輿まつりに誇り

重さ600㌔を超す六角神輿が揺れる(写真提供=イシヅカ写真館)

阿伎留神社例大祭の呼び物、神輿渡御の中止を5月16日の総代会で決めた。総代と各自治会長が出席。誰もが「致し方ない」と承知した。渡御の中止は昭和天皇が病に臥せっていた1988(昭和63)年以来のことだ。

「本来なら5月は祭典委員会を開き、『今年のまつりをやっていただけますか』と伺いを立て、まつりがそこからスタートする。祭典委員長や総取締なども決まっていく。今年は何も決まらずに終わった」

来住野弘さんは氏子総代会長を任され4年目。2007年には総取締を務めた。「例大祭は地域最大の年中行事。あって当たり前。祭囃子を子守唄に育った者にとって、渡御がないのは寂しい限りです」

「600㌔を超える六角神輿が激しくもみ合い、人があふれる勇壮なもの。300年を超す歴史を刻み、近在では圧倒的スケールのまつり」と誇りを持つ。

まつりへの思いは自身が作詞作曲した「この町に生まれて」の3番の詞に尽きる。

〽秋の祭りの夜は 神輿担ぐその肩に 子供のころから同じときめき 目をつむり冷たい 雨に酔いしれながら 夢の刹那か 祭りのはやし 祭り終わって寂しくて ただ一人坂を下るだけ やさしく包んでおくれ ふるさとのこの秋よ もう帰る場所はここだけ…

最後まで検討されてきたのが、トラックに大神輿を積載した氏子まわり。5日夕に総代と自治会長が集まり話し合ったが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から実施を見送った。

伝統のまつりだが、「祭礼日を固定せず土、日曜の開催を検討してもいい時期に来ている」とも感じている。平日だと神輿の担ぎ手が足りず、細い路地を行く際など危険を伴うからだ。

「来年のまつりは感染症の終息しだいだが、何としても盛大に実施したい。氏子、町民すべての人の願いですよ」とうなずいた。(岡村)