「マッサージ屋さん 春のはな」 奥多摩のカフェで営業、出張も

「私が他人の手によって元気になるきっかけをもらったように、皆さんも私のマッサージを機に自分で困難に対処できる人になってほしい」という西尾さん(ポートおくたまで)

奥多摩町氷川の西尾あや子さん(45)が営む「マッサージ屋さん春のはな」は6月、奥多摩駅2階「ポートおくたま」の一角で営業を開始。9月からは同町氷川の「カフェドラポーブルー」にもベッドを置き、町内2カ所で施術が受けられるようになった。

西尾さんのマッサージは客の間で「施術がいい」「話がいい」「聞き上手」と評され、「20分1000円」の手ごろさが喜ばれている。「これで生活が成り立つか」と問われると答えに窮する西尾さんだが、「人が好きで、人と密に関わって生きていきたい」という人生のテーマを、マッサージを通して追求する。

昨年までの17年間、小学校の教師として生きてきた。最後の2年間は古里小の特別支援学級を担当し、飯能市から通勤した。

教師を辞めた直後の昨年5月、夫が病で急逝。思い出の詰まった自宅に居られなくなり、3人の子を抱えて奥多摩へ移住。しばらく夢うつつの日々を過ごしていた。

ある日、ふらっと入った町場のマッサージ店で何の事情も知らない施術者に、そっと触れられた瞬間、涙があふれ出た。悲しみ、寂しさ、不安…吐き出せずにいた感情が噴き出し、生きた心地を取り戻した。何度か通ううちに元気になり、施術者になる目標もできた。

10月から3カ月間、都心の研修施設に通い技術を習得。日の出町のマッサージ店で働き始めた矢先にコロナ禍で仕事が不安定に。同時に「見ず知らずの人より身近な人を癒やしたい」という気持ちが強まり、町内で独立することにした。

買い物に行った先の店でチラシを貼ってもらうなどして地道に宣伝した結果、少しずつ存在が知られるように。高齢者などからの出張依頼も増えてきた。

料金は20分1000円で最大60分3000円。別の仕事と掛け持ち勤務のため、ポートおくたまでの営業時間は木曜〜土曜の10時〜16時(予約優先)。カフェドラポーブルーでの営業、出張依頼は要予約。070(2160)7780まで。(伊藤)