二宮歌舞伎なども紹介『一九四〇年代素人演劇史論』出版 あきる野市出身の小川史さん
あきる野市二宮出身で、横浜創英大学こども教育学部教授の小川史さん(48)はこのほど、『一九四〇年代素人演劇史論』(春風社、A5判、336頁、5500円)を出版した。
専門は社会教育史。本では素人演劇の歴史に始まり芝居表現の教育的意義について著述。同市二宮の農村歌舞伎座、新劇にも触れている。農村歌舞伎はかつて二宮歌舞伎と呼ばれ、2つの座が近隣で公演していた。
東秋留青年団は戦後、祖父の河野専一さんを中心に演劇活動を開始。演劇が好きな団員20人以上が仕事の後に集まって練習し、演出も団員らが手掛けていた。その後、新劇活動に関わった近隣の人が共産党員や党支持者を解雇などするレッドパージの影響で拘留される事件を機にやむなく活動を休止したという。
1940年代の日本は太平洋戦争と、戦後民主化が浸透していった時代。戦時中は文化政策として素人演劇が上演され、戦後は各地に素人演劇が広がった。50年代まで活動を続ける劇団は少なく「40年代は稀有な時期」と小川さんは記す。
本は書店、ネットで注文購入できる。問い合わせは045(261)3168春風社まで。
他の著書に祖父から聞いたあきる野の昔の暮らしをまとめた『野の語り部桑の里にひびきあう今むかし』(筑波書房)がある。(山石)