銅板造形作家 持田さんの作品 青梅 たまぐーセンターで展示 青梅の自然テーマに

紅葉の赤を「赤だし」の技法で表現した「多摩川に住む鯉」

銅板造形作家の持田史人さん(49、青梅市根ヶ布)が、青梅の歴史・自然にまつわるものや自身の代表作であるカエルのCorry(コーリー)をテーマに手掛けたフレーム作品点がネッツたまぐーセンター1階展示交流スペース(同市上町)に展示されている。

おろし金でワサビをおろすコーリー君、芽吹いた双葉を見つめる猫、梅の木でさえずるウグイスなど、物語の一場面を切り取ったかのような作品群だ。それぞれ場面の前後を想像したくなる。

東京五輪の景観装飾事業として、市の依頼を受け昨年6月に完成した。大会に合わせ、青梅駅前の商店街の外灯に設置される予定だったが、大会延期に伴いお披露目も先延ばしに。同センターで秋まで展示した後、当初の予定通り青梅の街中に設置される。

型紙をあてて切った銅板を加工し、パーツを作る持田さん

持田さんは自動車メーカーの下請け会社で板金溶接工をしていた代前半、知人を介して銅板造形家の赤川ボンズに出会った。「師匠の作ったものを見て、バキューンと撃たれたような衝撃を受けた。作品のディテール、世界観に魅了され、何度か通ううちに自分もやってみたくなった」と仕事を辞め、赤川氏に押しかけ入門する。

6年間、師匠の仕事を手伝いながら、制作スタイルを模索。師の促しもあり2003年に独立して自身の工房を構えた。だが、最初は何を作ればいいかもわからなかった。生活のため求められるままに作り続けたことで、結果として自分のスタイルが確立されたと振り返る。

緑青液(ろくしょうえき)を使いこなしてワサビの緑を表現した「青梅産のわさび」

4年間の板金溶接工時代にみっちり仕込まれた精緻な技術と、独自に体得した化学変化による変色で赤や青、緑を自由に表現する技法が持田さんらしさを際立たせる。「歳を過ぎてからは特に作るものに迷いがなくなった」といい、銅板ならではの温かみのある風合い、たんたんとした雰囲気に適した作品づくりに徹している。

展示スペースの開館時間は8時30分~20時。問い合わせは0428(20)7150まで。(伊藤)