奥多摩町 橋本さん 薪を作って、無償で配布 喜ぶ顔が見たいから

「倒した木を玉切りにするのが大変なんだよ」と話す橋本さん

正次興業建材(奥多摩町白丸)の会長、橋本正次さん(78)は、自身で薪を作り、町民に無償配布している。山から搬出した間伐材をチェンソーで切り、斧で割って乾燥させ、軽トラックで配達までする。

橋本さんは20歳で会社を創業。2年ほど前に息子の雅之さんに社長の座を譲った。今でも現場に出ることはあるが、資材置き場にある事務所で過ごすことも多い。そんな時間を利用して何か人の役に立つことができないかと考えるようになった。

町には、今でも風呂を沸かしたり、米を炊いたりするのに薪を使う家があるが、高齢で薪の入手が困難な人もいる。生活に必要な薪を無償で配れば、喜んでもらえるのではないかと薪作りを始めた。だが安定した薪作りには多くの木材を確保しなければならなかった。

町議の木村圭さんに相談すると「自分の山に間伐材がある。薪を作って配るのであれば、いくらでも持って行ってください」と木を提供してくれることになった。

間伐材の搬出は、ユニックなどの重機を所有する岡部石材店(同町氷川)の岡部兼長社長が協力。岡部さんや同社で働く若手の原島大樹さんが休日に木材搬出を手伝ってくれている。

橋本さんは「薪作りが楽しくてしょうがないんだ。ストレス解消にもなるんだよ。肩はちょっと痛いけどね。喜んでくれる顔が見られるなら、どんな苦労もないね。会社を続けられたのは妻のおかげ。薪を人に配れるのは、協力してくれる皆さんのおかげなんだ」と話した。(鋤柄)