パントマイミスト 清水きよしさん 55周年記念公演を開催 観世能楽堂で2月5日

能舞台で演じる清水さん。後継者の指導にも力を入れ、多くのパントマイミストを輩出している
能舞台で演じる清水さん。後継者の指導にも力を入れ、多くのパントマイミストを輩出している

 言葉も道具も使わず、体ひとつで詩情あふれる舞台を作り出すことから「空間の詩人」と呼ばれるパントマイミスト、清水きよしさん(74、青梅市二俣尾)が2月5日、活動歴55年を記念し、GINZA SIX内の観世能楽堂(中央区)で代表作「幻の蝶」を公演する。初演から43年、清水さんがライフワークとして国内外で上演する演目で、今回が152回目となる。

 「風船売り」「手品師」「ペンキ屋」「たばこ」の1部から2部の「つり」「秋の日の想い出」「いのち」と続き、表題作で少年が幻の美しいチョウを追い求める姿を表現した「幻の蝶」の8本の短編に、11弦ギター奏者の辻幹雄さんの演奏が添えられる。

 三鷹市出身。幼少期から自分を表現することが苦手な反面、他人に分かってもらいたい、伝えたいという気持ちがあった。芝居をすれば何かが変わるのではないかと役者を志した。劇団に入るが、集団行動やせりふのある芝居がしっくりこなかったという。

 20歳の頃、少年時代に見たフランス名作映画「天井桟敷の人々」のジャン=ルイ・バローが演じたパントマイムを思い出した。せりふ無しで一人で演じられると、1968年にパントマイムの第一人者、佐々木博康氏主宰の「日本マイム研究所」の門を叩いた。

 2年間学んだ後、70年に仲間と初公演。グループでの活動を経て、79年に「幻の蝶」を発表。82年にはドイツの国際マイムフェスティバルに招待出演。翌年、もう一つの代表作「KAMEN」を発表した。

 84年に知人の紹介で、住吉神社能楽堂(福岡県)で公演することに。西洋の縁取られた舞台でなく、絶えずどこが正面になるか分からない能舞台は清水さんの空間への認識を拡張したという。西洋のパントマイムと日本の伝統的な能舞台を融合させたと高い評価を受け、熱田神宮(愛知県)、梅若能楽堂(中野区)など、全国の能舞台で演じるようになった。

 「東京の中心にある観世能楽堂は敷居が高いと思っていたが、知人の紹介で今回、使わせてもらえることになった。素晴らしい舞台に立たせていただけることは、55年間休みなく舞台を続けてきたご褒美なのかもしれません。精一杯楽しみ演じたいと思います」と意気込みを語った。

 18時30分開演。A席5500円、 B席4500円、C席3500円(特別前売り指定席)。購入や問い合わせは左のQRコードの予約サイトから。(鋤柄)