あきる野市山田 ユニフローズ 液体分析装置「e‐HPLCことり」コンパクト、簡単操作
この装置を使えば、ふだん飲んでいるお茶やジュースなどの液体に含まれるビタミンC、カフェインなどの成分量を計測できる。自分で育てた野菜のビタミンC値を測って販売に役立てる農家や、川の汚れ具合を把握するために使われる例もあるという。
理科学機器・医療用分析装置を開発・製造するユニフローズ(あきる野市山田)が2019年に発売した液体分析装置「e-HPLCことり」。A4サイズの紙の上に3台が載るコンパクトさ(重量2・1㌔)とシンプルな操作性が売りだ。子どもたちの理科離れを防ぐため小中学校などの理科の授業で扱ってもらえるようにと、高精度な分析機能を必要最小限に集約。大学や研究機関で扱う液体分析装置の半分から4分の1程度に価格を抑えた。
「大きな装置を作る方がよっぽど楽でした」。創業者で「ことり」の開発者でもある森川秀行会長(79)は、完成までに2年を要した当時の苦労を振り返る。
同社は日本電子の技術者だった森川会長が1985年に創業した。主力製品は医療用分析装置に組み込むポンプ、バルブ、脱気装置など。独自の技術を磨き、脱気装置、送液用ポンプ装置などで国内外の複数の特許を取得している。東日本大震災を契機に2013年には宮崎県に工場を開設。事業継続計画(BCP)に基づき、供給責任を果たすために製造拠点を2カ所に拡充した。
昨年、会社を引き継いだのが、宮崎工場を立ち上げた内山章社長(60)。44歳で入社し、製品開発に携わるうちに「自分たちが分析装置の心臓部を作っている」との自負心が強くなった。主力製品をさらに伸ばしつつ、将来的には自身の専門である農林学系の分野に進出してみたいという。