あきる野市小和田 Compain開店 パリ滞在10年の伊藤さん夫妻 フランス仕込みのパンを薪釜で

コンパン(上)は1個1㌕、ブリオッシュ(中)は600㌘と大きい(いずれも焼成前の重さ)
コンパン(上)は1個1㌕、ブリオッシュ(中)は600㌘と大きい(いずれも焼成前の重さ)

 フランス帰りの夫婦が営む薪釜のパン屋Compain(コンパン)が、小和田橋から歩いて3分ほどのあきる野市小和田にこのほどオープンした。フランス仕込みのパンと焼き菓子を提供する。

 薪の香が移った香ばしい皮と、酸味を含むうまみの強い生地が特徴のハード系パン。素材は小麦粉と水で作る発酵種(ルヴァン)、国産有機小麦粉、自然塩、水と至ってシンプルだが、48時間かけてゆっくり発酵させることで独特のうまみ、香りが生じる。薪釜の遠赤外線効果で外はパリッと、中はもっちりした焼き上がりになる。

 菓子は季節のタルトやマドレーヌ、地名から名付けた「小和田サブレ」など。タルトやジャムの素材にはルバーブや梅など身近でとれる食材を使い、素材から新たな菓子を創作することもあるという。

自作の薪釜からパンを取り出すポーズをとる源喜さんと華奈さん

 店を営む伊藤源喜さん(46)と華奈さん(44)は、ともに30代を過ごしたパリで出会い、現地で結婚。パリ滞在の約10年間、源喜さんはパン屋で、華奈さんは伝統的なレシピを作り継ぐ菓子店でそれぞれ腕を磨き、源喜さんが40歳を過ぎたのを機に2018年暮れに帰国。あきる野市内の華奈さんの実家に身を寄せた。

 ふたりの技術と経験に「あきる野らしさ」を加える発想からたどり着いたのが、豊富な山の資源を生かした薪釜のパン屋。20年3月、「捨てないパン屋」の著書で知られる広島県内の薪釜パン屋で1カ月の研修を積み、開業に向けて動き出した。長引くコロナ禍とウッドショックの影響もあって計画が狂い、予定より大幅に遅れての開業となった。

かわいらしい外観の店舗。外壁の塗装に地元清水農園の麦ワラを漆喰と混ぜて使うなど地域とのつながりを大切にしている
かわいらしい外観の店舗。外壁の塗装に地元清水農園の麦ワラを漆喰と混ぜて使うなど地域とのつながりを大切にしている

 定番はハード系のコンパン(1個1400円/ハーフ700円)と、卵・バターを使った柔らかめのブリオッシュ(1個1300円)。硬いのが苦手な人は、スライスしたパンに霧吹きで水を含ませ、アルミホイルに包んでオーブントースターで焼くのがおすすめの食べ方。

 金曜・土曜の12時〜16時営業。駐車場5台。食品ロスを出さない考え方から、予約をお願いしている。予約は公式サイトの専用フォーム、ライン、インスタグラムから。電話予約090(8804)5080は火曜10時〜12時で受け付ける。(伊藤)