私立小学校という選択 〜デジタル人材の育成〜 上:菅生学園初等学校 教頭 村田隆一

 本来、小学校・中学校は義務教育であり、国が責任をもって行うわけですから、私立学校は必要ないはずです。しかし、実際は多くの私立学校(都内に56の私立小学校、187の私立中学校)があります。

 これらの私立学校は、「教育は国家百年の計。国だけに教育を任せてはおけない」と考えた創立者が私財を投げ打ち、その理想を実現するために設立したものです。

 人口が増えると作られる公立学校に対し、「こんな子どもたちを育てたい」という創立者の思いで創られたのが私立学校です。全ての教育活動が建学の精神に基づいて行われております。

 菅生学園初等学校の建学の精神は「歩き・考え・学ぶ」です。具体的には国際理解教育と環境教育の2本柱として教育活動を進めています。

 まず、国際理解について。一昔前はJIS(日本工業規格)やJAS(日本農林規格)が製品保証の主流でしたが、今はISO(国際標準化機構)が一般的になってきました。

人口減・少子化の中で事業の海外展開を考えれば、契約書は当然英語になり、トラブルになれば英語で裁判をしなければなりません。労働力も外国人に頼るところが大きくなり、コミュニケーションをとるための共通語は英語です。英語なしにビジネスは成り立たなくなっていることは周知の通りです。

 そのような世の中を見据え、ツールとしての英語を使いこなせる「世界のお役に立つ日本人」を輩出するのが本校の使命の一つです。

 次に環境教育について。1983年、菅生高校開校当時のポスターには「自然が教科書だ」と書いてあります。今ほど環境問題が注目される時代ではない時に、すでに環境をテーマとした教育活動が実践されていたわけです。その意味で本校の創立者島田久は先見の明があったのだと思います。

 伝統は今も脈々と受け継がれています。本校は東海大学の系列の学校ですが、人間環境学科自然環境課程の教授が小学生に授業を行います。野山や川の中まで一緒に入り、触れるものは触る・食べられるものは食べるといった本物に触れる体験学習を進めます。この活動により子どもたちはより好奇心を膨らませ、学ぶ楽しさを知ります。これを知ればもうこちらのものです。ICTを活用し、子どもたちは主体的に学習を発展させていきます。

 このように体験を重視した環境教育が菅生のもう一つの柱です。