多摩川川下り事業者組合事業再開へ 感染対策ガイドライン作成 地域にも理解求める
新型コロナウイルス特措法にもとづく緊急事態宣言が25日、首都圏で解除され、休業中の観光業、飲食業などで事業再開に向けた動きが活発化している。再び感染拡大の可能性がある中、従業員の安全を守りつつ、客に安心して利用してもらうための取り組みを紹介する。(伊藤)
青梅市御岳地区のカヌー・ラフティング事業者らでつくる「多摩川川下り事業者組合」(後藤めぐみ会長)は、感染拡大防止の8つの基本ルールを定めた感染症対策ガイドライン(指針)を作成。組合加盟の18事業所で実践していく。
御岳地区はカヌー・ラフティング、ボルダリングといったアウトドアを楽しむ人たちを中心に多くの観光客が訪れる地域。だが緊急事態宣言後も観光客が絶えず、地元住民の反発を受けた市は市内の観光駐車場を閉鎖。御岳渓谷への立ち入り自粛を要請したため、全ての川アクティビティー事業者も休業を余儀なくされていた。
宣言解除後、事業を再開すれば、比較的感染リスクの低いアウトドアにこれまで以上の人が訪れる可能性もある。同組合では各事業所で安全対策を徹底すると同時に地元住民の理解を得られなければ円滑な事業再開は難しいと考え、共通の指針を定めて広く発信することにした。
指針となる8つの基本ルールは、事業所のサイトやSNSを通じた感染防止策の発信、施設・ツアー装備品の消毒など。ボートから川に落ちた人を救助する際、対面せずに引き揚げるといった項目も盛り込んだ。
指針策定を役員に呼びかけた事務局長の柴田大吾さんは「自粛ストレスにこそ多摩川での自然体験が大切。長期的な視点に立ち、一歩一歩着実に再開に向けて進んでいきたい」と話している。
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ボルダリングはクライマーが事業者を介さず各自岩登りを楽しむのが通例。同組合のように共通のガイドラインを作る動きはないが、「御岳クライマーズコミュニティ」(中井律子代表)がクライマーに良識ある行動を呼びかける。地域住民とクライマーとの橋渡しをし、良好な関係を築くよう努めている。