青梅マイナー堂 来月5日~閉店セール 惜しむ声多く 西多摩音楽ファンの原点消える 

IMG_0278 青梅駅前の商店街で約66年間営業し、西多摩の音楽ファンに親しまれてきたレコード店、マイナー堂(青梅市住江町)が来月いっぱいで閉店する。インターネット配信や通販の発展など時代の流れには抗えなかった。様々なジャンルの音楽との出合いを提供し、演歌歌手の三田りょうさん(テイチク)など、西多摩出身ミュージシャンを育む場ともなってきただけに、閉店を惜しむ声が上がっている。

須崎八州冶店長(69)によると、楽曲ダウンロードや通販でのCD購入が進み、売り上げは最盛期から3分の1に減少。地元では昭和レトロのまちおこしに取り組んでいるが、青梅駅前の人通りは減り続けている。
店は父親の茂さん(93)が1953(昭和28)年に開いた。当初は音楽教室を開き、楽器販売の店だった。その後、12坪の店の半分を使いレコードを扱うようになった。80年代にはレコード、CD専門店に衣替えした。 演歌、ポピュラー、ジャズ、クラシックなど様々なジャンルの品揃えと店主の人柄が支持された。
マイナー版を含め地元出身のアーティストの作品を販売。カラオケファンからも楽曲選びで頼りにされた。81年から青梅マラソン大会の当日、前年大ヒットした「帰ってこいよ」(松村和子歌唱)を沿道に流し、ランナーたちを励まし、いつしか青梅マラソンの名物になった。
閉店を知った常連客の有志は感謝を込めランの花を贈った。「幅広い音楽を置いてあった。店主の話を聞き、あれこれ選びながら直接買うのが好きだったので閉店は残念」との声が聞かれる。
苦しい時も、有線音楽賞受賞など喜びの時もデビュー当時からお世話になったという三田さんは「音楽活動の原点なので、感謝しかない」と振り返る。
西多摩出身のミュージシャンのコーナーは今も残る。ジャズ歌手の梶多美江さんのファーストアルバムや美弥慧子さんの「梅の花いろ蘇る」などが本紙取材記事とともに並んでいる。
須崎店長は「閉店にはじくじたる思いが今もあるが、今後を考えると再建の夢は手の届かないところにある」と語り、「音楽ビジネスだけでなく、田舎の食堂のように何でも扱うレコード店が昭和レトロの香る青梅のまちづくりに少なからず貢献できたという充実感もある。平成の世の終焉を前にここいらが精一杯かなと感じた」と頷いた。
15日で仕入れを終えたが、店内にはCD1万枚、カセットテープ2000本、DVD1000枚ほどが並んでいる。来月5日から始まる閉店セールでは全品30%引きで販売する。ただ、貴重なものは先に売れてしまうので、セール前に訪ねる方がいい。
午前9時半~午後9時半まで営業。無休。(岡村)