こだわりのカレーとオムライスを 「農家ヘムロック」奥多摩町

卵3つも使うというオムライス

奥多摩郵便局の目の前に山小屋のような佇まいの食事処「農家ヘムロック」がある。タマネギとブタ肩ロースをじっくり炒め、スパイスと牛乳で煮込んだ特製カレー(700円)と、シーフードの入ったケチャップライスを、ふわふわの卵で包んだオムライス(750円)を提供。どちらもボリューム満点。サービスで具だくさんの味噌汁がつくのもうれしい。「店をはじめた頃は、もっとメニューがあった。今はこだわりのカレーとオムライスだけ」と店主の深谷七郎さん(85)は話す。

この店は、1980年頃に「HEMLOCK(ヘムロック)」という名で喫茶店としてオープン。店主が変わりながらも営業を続けてきた。一時期、喫茶店としてではなく野菜を売っていた時期があり「農家ヘムロック」に店名が変わる。

深谷さんは、都心で写真の撮影、現像、印刷までを一貫して行う会社に勤めていた。23年前に知人から店を切り盛りしてほしいと頼まれ、会社を辞め奥多摩に移住し「農家ヘムロック」を引き継ぐ。

調理経験がなかったという深谷さんは「最初は店番くらいの気持ちだったが、店をやっていくうちに料理にのめり込んでいった」と話し、「写真を印刷していた時も何度も納得いくまでやり直した。料理も客の反応を見て、改良し続け今の味になっている」と物づくりへの強いこだわりを語る。

コロナ禍の現在は夜間休業中だが、ディナータイムに訪れるのも良い。深谷さんが選び抜いた日本酒をはじめ、ビール、焼酎、ワインまで居酒屋顔負けの酒がそろう。手作り餃子(6個入り400円)や、カツオの血合いの煮物など、日替わりの肴も人気だ。

店主の深谷さん

深谷さんは「山登りの帰りに寄ってくれる常連さんがいる。来て開いていなかったら残念な思いをさせる」と85歳となった今でも基本的に毎日営業しているという。

営業時間は11時〜14時。不定休。問い合わせは0428(83)2776まで。(鋤柄)