絵本『お山が笑ったよ』 あきる野市 中島さん母娘が自費出版 春の城山、戸倉の囃子、祭りテーマに
あきる野市戸倉の中島凜さん(同市立五日市小6年)、詩乃さん(同4年)と知恵子さん(43)の母娘が絵本『お山が笑ったよ』を自費出版した。戸倉のシンボル城山をモデルに、地域に伝わる囃子や祭りの様子を描いた作品。かわいらしいイラストと、ほのぼのとした内容に、読めばほっこり幸せな気分になる。
絵本づくりを提案したのは知恵子さん。本が大好きで、子どもが小さいうちは絵本が手放せなかった。「子育てで辛い時期もあったが、子どもと一緒に絵本を読むことで何度も助けられた」という。感謝の気持ちから、いつか自分でも絵本を描いてみたいと思っていたそうだ。
昨年、体調を崩して仕事を辞めたのを機に、子どもたちを誘って制作に入った。おはなしは、すぐに思いついた。毎年、感動を運んでくる城山の春の景色と、夫の徹也さんを中心に家族で夢中になっている囃子をテーマにしたいと思った。
愛知県知立市の市街地で育った知恵子さんにとって、結婚後に移り住んだ、あきる野の山あいの風景は新鮮だった。里の桜が終わる頃、山桜がぽつりぽつりと咲き、城山が春色に包まれていく光景には、「(移住後5年たった)今でも感動する」という。一方、地元の「本郷はやし連」は中島さんのように一家で取り組む仲間が増え、「とても盛り上がっている。今の良い状況を形に残しておきたい」と題材に加えることにした。
知恵子さんが考えた物語に子どもたちと分担して絵や文字を付け、1年がかりで仕上げた。凜さんは「お囃子の獅子など、意外と描くのが難しかった」、詩乃さんは「描いたり塗ったりするのが楽しかった」と振り返った。春の山のにぎわいを「山が笑う」と表現すると教えてくれた義母セツ子さんは、「城山も喜んでるわ」と本の完成を祝ってくれた。
知恵子さんは「読んでくれた人が、絵本の中のお山のように笑顔になってくれたら」と話している。
本はB5判16㌻。戸倉しろやまテラスで1冊300円で販売中。 (伊藤)