97㌶の里山 保全しつつ活用 ひので野鳥の森自然公園開園
ひので野鳥の森自然公園が10日、日の出町の平井・川北地区に開園した。公園は面積約97㌶の広大な里山。町は野鳥をはじめ動植物が豊富なこの里山を10年かけて整備。保全しながら観光や地域の憩いの場として活用していく。(伊藤)
園内にはコナラやアカシデなどの落葉広葉樹林が広がる。オオタカやサンコウチョウなどの野鳥や、ゲンジボタル、トウキョウサンショウウオ、オオムラサキといった希少な生きものが確認されている。
かつて薪炭林として利用された経緯があり、人と森とのつながりを知るうえでも貴重な場所だという。また、既存の散策路は古くから青梅に抜ける古道として利用されており、歴史散策が楽しめる。
もとは宅地開発が予定された土地だが、バブル崩壊とともに計画が凍結。町は一転、開発から保全に舵を切り、2009年度から山林や散策路の整備を進めてきた。
12年に市民や学識経験者をまじえた委員会を設置。基本構想の検討を重ね、動植物の自然環境調査を実施した。翌年、基本構想を策定。これに基づき園内を大きく4つのゾーンに分け、各区のテーマに沿って保全・活用していく方針だ。
公園のシンボルである管理棟は自然環境に配慮した工事で建設された。多摩産材をふんだんに使った木造建築で、屋根の曲線が特徴。鳥の親子が羽ばたく様をイメージして設計したという。公園入口の園名石には友好町村盟約を結ぶ新島村の特産、抗火石を使用した。
このほど管理棟が完成したことから10日に開園式典を実施。あいさつに立った橋本聖二町長は「この森を行政財産として未来永劫にわたり保全する。皆様方に親しまれる公園としていく」と述べた。
同公園運営連絡協議会の田中稔会長は「ここは野鳥をはじめ動植物が豊富で、豊かな自然を満喫できる場所。観光や地域の憩いの場、子どもたちの冒険の場として地域の活性化に役立てれば幸い」と開園を歓迎した。
来賓で抗火石を寄贈した新島村の青沼邦和村長らが祝辞を述べた。