移動シアターで全国巡る 人が集まりくつろげる場を演出 青梅市出身 足立勇馬さん(26)

この人にズーム五日市ほしぞらシネマの会場で、映画を楽しむ観客を後ろから眺めて幸せをかみしめる人がいた。会場設営や映画の手配などで上映会をプロデュースした足立勇馬さん(26)だ。

足立さんは移動シアターJourney Screen(ジャーニースクリーン)の個人事業主。軽バンに空気で膨らませるバルーン型スクリーンやプロジェクタなど機材一式を載せ、依頼のあった場所に出向いて野外上映会を行う。2016年10月の開業からこれまで15都府県50カ所以上で上映会を開催してきた。
青梅市今寺の出身。市立三小、三中を経て大学卒業まで青梅で過ごした。卒業後はホテル業界に進み、宮崎市内に赴任。休日、書店で何気なく手にとった雑誌で野外上映会の特集記事を目にし、「ビビッときた」。突き動かされるようにスクリーンの製造工場を訪ね、毎月10万円ずつ貯金して半年後にスクリーンを購入。会社を辞めて開業した。
大学時代にヒッチハイクで国内外を旅し、多くの人に親切にされた経験から、「今度は自分が、人が集まってくつろげる場所を作りたい」という漠然とした思いがあった。その思いを実現する手段として、直感的に映画を選んだという。
野外上映会の醍醐味は、皆で集まって、皆で楽しむこと。そして唯一無二のライブ感。「赤ちゃんもペットもOK。飲み食いしながら、感じたことを語り合いながら見てもいい。虫の声や、海辺なら波の音が聞こえる。暑い寒いといったことも記憶に残る。その日、その場限り」と一期一会の出会いを演出する。
現在、東京と宮崎を行き来しながら、SNSを中心に依頼を受け活動を続ける。2年間のホテルマンの経験も生かし、いずれは景色のいい場所でくつろぎの宿を経営してみたいという。   (伊藤)