神秘 ホタル幼虫、水から陸へ

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写真と文 竹本英男(50) 日の出町平井

写真は5月1日午後9時7分、あきる野市乙津の徳雲院の遊歩道で撮影しました。前を流れる養沢川からゲンジボタルの幼虫が発光しながら地上に上陸しているところです。
ゲンジボタルの幼虫は春まで水の中に暮らし、成虫になる45~50日前の雨の降る日に上陸し、土のある場所へゆっくりと歩いていきます。湿っていないと上陸できないそうです。
その後、土の中にもぐって土まゆを作り、その中で蛹から成虫になって飛び立ちます。土の中にいる時の幼虫の発光が、蛍の一生の中で一番きれいだといいます。
昨年、徳雲院で蛍の成虫を最初に確認したのが6月19日ごろだったので、そこから約50日逆算して、4月30日か5月1日の夜には上陸するだろう予想しました。
2日間、小雨が降り最高の条件でした。遊歩道の下流から歩いて確認すると、数匹の蛍の幼虫が、対岸の草むらや川の真ん中の岩の上で光を発しています。少しずつゆっくりと移動していくのがわかりました。成虫より光は弱いですが、肉眼でもはっきりわかりました。肉眼で見えると感動ものです。
私は10年ほど前から蛍の撮影を始めました。最初は生態がわからなかったのですが、通ううちに雨の日に幼虫が発光しながら上陸することや蛍の飛ぶ時間、産卵場所など、ほんの一部ですが蛍の一生がわかってきました。
この美しい光は、川を汚さず環境整備をしていけば次世代の人たちに残せると思います。
蛍が飛ぶ日にはお寺の住職様が遊歩道の入り口に足下を照らす電灯つけてくださっています。こうした優しさで蛍は守られると思います。
写真を通して何かを感じてもらえたらうれしいです。