大岳鍾乳洞 あきる野市 幻のコース30年ぶり復活 難所、見どころあり

大岳鍾乳洞2 あきる野市養沢の大岳鍾乳洞で、約30年間閉じていた幻のコースが復活した。「チャレンジコース」と名付けられたその行程は全長26㍍。所要時間約5分と距離は短いが、難所や見どころが続く面白みのあるコースだ。
大岳鍾乳洞は1961(昭和36)年に田中雄嘉造さん、ユキさん夫妻が発見。手掘りで人が通れるよう整備し開業した。夫婦で管理し、雄嘉造さん亡き後はユキさんが100歳まで受付に立ち続けた。
名物おばあちゃんとして親しまれたユキさんが2016年3月に他界すると、その後を孫の嘉伸さん(42)、友美さん(41)夫妻が引き継いだ。2人はユキさんの代には手の行き届かなかった休憩所の整備や洞内標識を新しくする作業などに取り掛かり、鍾乳洞の魅力を高める努力を続けている。
その一つが幻のコースの復活。このコースは開業初期からしばらく使っていたが、通常コースと比べて狭く、ヘルメットの貸し出しもしていなかった当時は危険だということで休洞になっていた。
観光客に何度も足を運んでもらうには常に新しさが必要だと考えている嘉伸さん。6月に洞窟探検家の吉田勝次さんの訪問を受け、お墨付きをもらったことからコースの復活を思い立った。夫婦2人で傷んだ通路をコンクリートで埋め、新しい標識を作るなどして受け入れを開始した。
コース内は中腰でなければ通れない箇所や階段など難所が続く。一方、鍾乳石の突起を大黒天に見立てた「大黒殿」など自然の造形美を楽しめるエリアも点在する。
標識作りを担当した友美さんは、一番の難所である高さ60㌢の穴を「新たな扉」と名付けた。「約30年閉じていたコースを復活させることで、大岳鍾乳洞にとって新たな扉が開き、さらに発展していけたら」との願いを込めたという。
ところで洞内の温度は年中11~13℃と一定している。突如訪れた夏の暑さに参ったら、鍾乳洞に涼をとりに来ては。
営業時間は午前9時~午後5時。8月中無休。見学料大人600円、小中学生400円、幼児200円。問い合わせは042(596)4201まで。(伊藤)