和モダンな宿、小菅村にオープン 築150年超の古民家を再生 村全体が一つのホテル日常離れゆったりと
築150年超の古民家をモダンに改修した宿「NIPPONIA 小菅 源流の村」(運営・㈱EDGE)が先月、山梨県小菅村にオープンした。人口約700人の過疎の村が打ち出した地域再生プロジェクト。村全体を一つのホテルに見立て、宿を拠点に温泉や自然、地の食材など村の魅力を丸ごと体験してもらうのがねらいだ。(伊藤)
「NIPPONIA 小菅 源流の村」は、かつて養蚕を営んでいた地域の名家を、古民家の風格を残しつつおしゃれに改修したホテル。敷地内の土蔵を含め客室は4室ある。室内は村の基幹産業だった「炭」と「熱」をテーマに黒とグレー、差し色のオレンジで統一されており、非常に落ち着く空間だ。
共有スペースには蚕を連想させるハンモックを設置。庭に焚き火のできる場所を設けるなど、日常を離れてゆったり過ごせる工夫が随所にほどこされている。
食事のテーマは「今、ここでしか味わえない土地の和食」。村の食材を知り尽くしたシェフが、二十四節気にならって2週間ごとにメニューを変更。村でとれた食材を使ってコース料理を提供する。
宿を運営するのは、道の駅こすげをプロデュースしたコンサルティング会社㈱さとゆめ、古民家再生に取り組む㈱NOTE、小菅の湯などを営む㈱源の3社が共同出資で立ち上げた㈱EDGE(本社・小菅村、嶋田俊平社長)。村との共同事業で取り組む。
マネージャーの谷口峻哉さん(30)は都心の会員制ホテルに5年勤務した後、オーストラリアでSPAの接客やスポーツトレーナーを経験。帰国後の生活を思い描いていたころ、フェイスブックで宿のマネージャー募集を知り、迷わず応募した。
今年2月、妻のひとみさん(29)とともに村に移住。夫婦で宿を切り盛りする。「忙しい日常を離れ、夫婦や大切な人とゆっくり過ごしていただける宿になればいい」という。
㈱源の黒川文一常務は「村全体をホテルと考えるなら、宿から『小菅の湯』までの道路は廊下になる。廊下もきれいにしておきたいと、ボランティアの人たちが道沿いの木の枝打ちをしてくれた。周りの意識も少しずつ変わってきている」とホテル開業が周囲に良い影響を与えていると話した。
宿泊料金は1泊夕朝食付き1人2万5000円(税別)~。最大2名用が3室、4名用が1室。予約は「一休」のサイトから。問い合わせは0428(87)9210まで。