飲食店が危機 歓送迎会総キャンセルで 地域の店テイクアウトで応援を 人材確保、他業種にも影響

テイクアウト
宴会のキャンセルでひっそりとする秋川駅前のダイニングバーKAIの店内

生活のあらゆる場面に悪影響を及ぼしている新型コロナ。とりわけ飲食店は歓送迎会の中止などによる売上の落ち込みで危機的状況にある。あきる野市内の飲食店経営者に厳しい現状を聞いた。(伊藤)

秋川駅前で居酒屋など飲食店2店舗を経営する㈲KAIコーポレーション社長の工藤孝平さん(49)。3~4月に入っていた歓送迎会の宴会・ケータリングの予約がすべてキャンセルとなり、見込んでいた2店の売上200万円超を失った。個人の常連客が来てくれることで売上ゼロは免れているが、宴会分は補えない。
飲食店にとって、歓送迎会などの集まりが集中する春は年末年始に次ぐかき入れ時。宴会が総キャンセルとなった今、少しでも売上を確保しようと来店を呼びかけたいところだが、学校の休校が続き、外出や人との接触が制限されている状況下では「積極的に店に来てとは言えない」と頭を抱える。
売上確保が難しい中、同店では計7人のアルバイトに勤務時間の短縮を要請した。アルバイトにも生活がある以上、よりたくさん働ける職場を求めて転職活動を始めた人もおり、「アルバイトさんにしわ寄せがいってしまい心苦しい。コロナは収まってもアルバイトがやめてしまっては困る」と人材確保の面でも不安が生じている。
さらに、ケータリングの仕事がなくなったことでテーブルクロスを洗う必要がなくなり、「クリーニング屋さんにも多少は影響が出ているだろう」と飲食店の不調が他業種に広く影響しているという。
国は個人店に融資による支援策を打ち出したが、「借りてその場はしのげるが、コロナ収束の先が見えない状況では返済できるか不安」と借り入れを躊躇する。
八方塞の状況に打開策はないのか。「あるとすればテイクアウトの内容を工夫して、地域の方に応援してもらうことかな」。今月末から秋川駅周辺地区産業活性化戦略委員会の仲間が企画した「テイクアウト選手権」=次号詳報=が始まる。これに参加し、厳しい状況をなんとか乗り切りたいという。