コロナショックの影響 短期と長期収束で推計 収束来年3月なら 多摩地域 生産額3779億円減少 たましん地域経済研究所がレポート

image 多摩信用金庫のたましん地域経済研究所は19日、コロナショックが多摩地域経済にもたらす影響で、消費者の消費行動の変化によって生じる経済効果を推計した。多摩地域内産業の生産額は、短期収束シナリオ(2月から4月末)で1441億円、長期収束シナリオ(2月から来年3月末)で3779億円減少するとした。
減少額は多摩地域のGRP(域内総生産)をそれぞれ年率0・8%、同2%押し下げ、従業者数をそれぞれ約1万5000人、約4万人減少させることに相当し、地域経済に多大な影響をもたらすと考えられるとした。業種別に見ると、特に宿泊業、飲食業、運輸業への影響が大きく、長期収束シナリオの場合では、深刻な影響が及ぶという。
対策として積極的な資金繰り支援を行っていく必要を求めている。注意すべき点として事態収束後にも消費活動が元通りに戻らない「履歴効果」を避けることを挙げ、収束の目処が立った段階で政府は危機脱却への道筋を示し、必要な支援を実施することが肝要であると指摘している。

昨年末頃から中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスは、強い感染力から世界的な流行をもたらしている。各国では感染の収束に向け緊急的な政策が採られているものの、経済的な打撃は大きくなっている。
OECDのチーフエコノミストが、世界経済の現状について「(2008年の)金融危機以来、最も不安定な状況にある」と警鐘を鳴らしているように、不確実性の高まりを受けて世界経済全体が減速している。国内でも全国的な消費活動の停滞が見られるなど、経済活動に多大な影響が現れている。 =たましん地域経済研究所レポートから=(岡村)