青梅 ガラス工房「RainbowLeaf」 日常遣いのガラス製作 全国で販売

廃ガラスを使って製作したガラス。やわらかな輝きと厚みが特徴的

「続けられるなら変わらず、1日でも長くガラスを吹いていたい」そう話すのは青梅市新町でガラス工房「RainbowLeaf(レインボーリーフ)」を主宰する平岩愛子さん(46)。酒瓶や窓ガラスなど、使い終わったガラスを炉で溶かし、グラスや花瓶、皿などを一つひとつ吹いて製作している。

同市新町出身。幼いころからものづくりは好きだった。通っていた高校のそばに武蔵野美術大学(小平市)があり、個性的な学生、大学の様子に興味を持ち、「ここに来たい」という思いで同大学美術科に進学した。

ガラス製作に魅かれたのは大学在学時。雑誌に取り上げられていた琉球ガラスを見て、「私が好きなのはこのガラスだ。これを作った職人さんに会いたい」と思った。「気になったら気が済むまでやる性格」というとおり、約束もしないまま沖縄県内の工房に訪問。会いたいと思った職人さんは亡くなっていたが、理想通りのガラスを作っている工房「奥原硝子製造所」、後の師匠となる現代の名工、桃原正男氏(故人)に出会うことができた。

一時は断られたものの、念願かない22歳で同製造所に就職。桃原氏のもとで4年ほど働き沖縄ガラスの技術を学んだ。結婚・出産で東京に戻るが、「義父の死」という転機が訪れる。「夫も私も『いつ死んでしまうかわからない。やりたいことをやらなければ』と強く思った。夫は学びたいことがあるとイギリスに留学し、私は沖縄でもう一度ガラスをやりたいと」。31歳で当時4歳だった息子と二人、沖縄へ。「息子が小学校に入るまでの3年間」という期限付きで、改めて同製造所で働き、ガラス製作に向き合う日々を過ごした。

工房脇の直営店に立つ平岩さん

青梅に戻った後、35歳で工房を設立。製作したガラスは全国各地の取扱店で販売しているほか、5年ほど前に工房横に直営店を構え、ガラスの展示・販売も行っている。

作り続けたいのは、使いやすくて手になじむ、日常使いのガラス。新型コロナでの自粛期間中、「部屋に花があるとホッとする」と花瓶が多く求められた。「少しでも癒やしになれたのならうれしい。一つひとつ手で作っているのでたくさんは作れないけれど、忙しい今の時代、手に取って安らいでもらえたら」。

直営店は不定休。問い合わせは公式サイトから。(佐々木)