青梅　空間工房タシブトフクシマ　大河や朝ドラの小道具など制作

青梅市長淵の「空間工房タシブトフクシマ」（田染友秀代表）は、テレビドラマや映画、舞台などで使われるセットや小道具などを制作している。丁寧な仕事が信頼を集め、ＮＨＫ大河ドラマや連続テレビ小説などからは長年制作依頼があり、地道な活動を続けている。

代表の友秀さん（54）は大学在学時から劇団の舞台製作に携わるとともに、ドラマセットなどを制作する現場で経験を積んだ。１９９５年、同じ劇団で美術製作に携わっていた直美さん（53）と結婚すると同時に、２人で同工房を立ち上げた。

丁寧な仕事に加え、幅広い材料を扱えるのも同工房が根強い支持を集める理由の一つ。友秀さんが鉄やアルミ、木材などの造作、仕掛けもの、Ｅテレの実験装置の制作などを担当。直美さんが空間デザイン、スチロール、ＦＲＰ（繊維強化プラスチック）、布での造作、作画彩色などを担当している。

さらに、３ＤＣＧ製作技術を持つ長男の颯野さん（19）も制作に携わり、現在放送中のＴＢＳドラマ『ＭＩＵ４０４』では物語のカギになるピタゴラ装置を担当。ちなみに同ドラマでは、ナイフやバール、斧などの凶器（レプリカ）を同工房が制作している。

今年４月、もともとあった作業場のすぐそばに事務所兼作業場を新築し、コロナ禍で制作依頼がストップするなか引っ越しを完了した。作業場は随分前から手狭になっていたが、５年ほど前に直美さんは乳がんの手術を受け、「ようやく先のことを考えられるようになって決断した」という。

これまでは看板などを出しておらず地域とほとんど接点がなかったが、「地域の人に知ってもらいたい」と入り口に工房の名前を貼り出すことに。「治療をしながら仕事と子育てをするなかで、地元ボーイスカウト青梅２団の仲間と自然に癒やされ、支えられてきました」と直美さん。その感謝の思いを込めて、今後は「私たちができることで、地域の人たちに喜んでもらえることをしていけたら」と話す。

問い合わせは０４２８（２３）９０８１まで。（佐々木）