奥多摩町 災害の歴史伝える旧栃窪村の供養塔

供養塔に刻まれた文字

奥多摩町奥氷川神社に樹齢700年とも言われる巨樹三本杉がある。三本杉を左手に、横道を下り、「とけはし」という吊り橋を渡る。さらに山道を左へと進む。しばらく行くと小さな吊り橋がある。その橋を渡りきると、大きな岩の上に、高さ135㌢ほどの石碑が建てられている。

ここには、1859(安政6)年7月の豪雨により、多摩川南岸の登計集落、長畑集落に大被害をもたらしたことが記されている。土砂崩れが起き、川は氾濫し橋が流された。また、道路は寸断されてしまった。これにより、人々は食料を手に入れることができず、飢えを耐え忍んだというようなことが詳細に記されている。しかし、この大災害については、奥多摩に暮らす人にもあまり知られてはいない。

近年このような自然災害が全国各地で発生している。奥多摩町も、昨年の台風19号により日原街道が陥落し、孤立した集落があった。また、断水により大きな被害に見舞われた。

国土交通省国土地理院は昨年、「自然災害伝承碑」を地形図に表示することにした。この記事で触れた石碑は、町内に保存されている唯一の自然災害伝承碑だが、現段階では国土基本図に掲載されていない。

このような過去の災害を教訓にし、今後の台風シーズンに備えたい。(鋤柄)