青梅 津雲邸で豪華なひな祭り展 3月28日まで 雛人形、雛道具見どころ紹介

江戸後期五段飾りの有職雛

青梅市住江町の歴史資料館「青梅津雲邸」(津雲薫館長)で3月28日まで「ひな祭り展」が開催されている。初公開品を含め雛人形、極小雛道具など約800点が展示されている。

仏像の間にある立ち雛の男雛の袴の紋は菊紋で、皇室から公家に下賜されたと伝えられる。床の間の仙台伊達藩御用絵師、東東洋筆の掛け軸の立ち雛の鼻の部分の絵の具は胡粉が用いられている。

2階大広間にある五段飾りは、公家の衣裳を忠実に縮小した江戸後期作の有職雛で、親王、大臣などに限り着用できた小直衣姿である。書院窓側にある幼児姿の御所人形は参覲交代の際、公家から大名への返礼品として使用された。

大応接間に陳列された雛道具は東京では質量ともに老舗和菓子店「とらや」に次ぐとされる。上野池之端の雛道具製造、七澤屋の粋を凝らした職人技を手にとるように鑑賞できるのは日本広しと言えど同館しかない。

特に上流の女性の輿入れ道具である黒棚(化粧具)、書棚(筆等)、厨子(香)の3点セットが入る棚の内側に施される金蒔絵は見逃せない。この一揃で一世帯が持てたといわれる。

幕府の贅沢禁止令が出たため小さく作られ、結果的に高価な額になった芥子雛や、同室奥の六曲一隻の屏風には戊辰戦争(1868)で焼ける前の上野寛永寺が描かれ、屏風中央上部のぼかし部分が東叡山輪王寺であると知って鑑賞すればいっそう興趣深い。

「煤竹の間」には、三人官女や白梅、紅梅を持つ木目込み雛など。どの部屋にも由緒ある人形が配る。

同館は昨年、文化庁より国の登録有形文化財の指定を受けた。津雲館長は「日本建築の贅を凝らした部屋で、コロナ禍で塞ぎがちな気持ちを吹き飛ばし、魅惑のひと時を過ごしていただけたら」と話している。

開館時間は10時~16時。月・火曜休館。入館料500円、中学生以下無料。問い合わせは0428(27)1260まで。(吉田)