玉鋼から唯一無二の刃物 青梅 二俣尾駅近く 平田鍛刀場

平田さんの制作した短刀

二俣尾駅から徒歩5分の場所にある平田鍛刀場では、刀工の平田祐平さん(33、同市今井)が古来の「たたら製鉄」を用いて素材から刃物を手作りしている。日本にいる300人ほどの刀工の中で、製鉄から手作りしているのは3人ほどしかいない。

製鉄してできた玉鋼を熱し、伸ばす平田さん

たたら製鉄は炭素を多く含み、日本刀の素材となる鉄塊「玉鋼」を作り出す日本古来の製法。専用の炉で原料の砂鉄を1300度ほどの高温で溶かし、炭素と結合させる。

かつては刀工が地場の砂鉄を製鉄し日本刀を作ることで地域ごとに特徴が強く現れていたが、非常に手間とコストがかかるため、現在多くの刀工は国が保存する島根の製鉄所から鉄を仕入れ再加工している。純度が高くきめ細かい島根の玉鋼と比べ自家製鉄の玉鋼は頑丈で実用性が高く、叩いて重ね伸ばす過程でできる縞模様に面白みがある。

小平市出身の平田さんは幼少から剣道を習い、日本文化に興味があった。高校時代、福生の郷土資料館で展示された日本刀を見て、人間が作ったとは思えない美しさに魅了された。卒業後、岡山県の自家製鋼の名手、上田祐定さんに師事。鍛刀技術、自家製鋼を13年かけて学んだ。地元で鍛冶場を作ろうとしたが、作業に煙や音が出ることから住宅地は難しく、バイクで周辺を回って現在の地に。昨年2月に開業した。

鍛刀場の公開や体験会を積極的に実施している。「奥さんに包丁をプレゼントする方や、子どもの夏休みの自由研究にナイフを作りに来ることも。もちろん危険の無いようしっかりサポートしますよ」と話した。

たたら製鉄の日程はSNSで告知。体験は予約制で万能包丁(6万円)かナイフ(2万5000円)を作る。問い合わせはhirata_blacksmith★yahoo.co.jpまで。(藤野)

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