日の出町大久野の秋川街道沿いで最近、キッチンカーや自店の店先でのテント販売が増えている。特に土日は大久野地区の300㍍ほどの区間に4店が出店する。記者は密かにこの道を「大久野テイクアウト街道」と名付け、出店者を取材した。(伊藤)

宝来家のテント販売

武蔵五日市駅から青梅方面に向かう途中、最初に目にするのが宝来家のテント販売。金曜、土曜、日曜、月曜の11時30分〜13時30分、ボリュームたっぷりのロケ弁当(700円)と丼もの(600円)を提供している。

宴会を得意とする店だがコロナ禍で客足が絶えた。「休業が続き、店をやめたと思われたくないという気持ちから弁当の販売を始めた」と店主の佐久間秀二さん(53)。丼メニューは店内で食べることもできる。

宝来家から150㍍ほど先、ドリームカーの敷地内に土曜、日曜、祝日の11時30分から出店するのは「仕出し・お弁当ミヤタ」のキッチンカー。「おかずの多いお弁当が好き」という店主の宮田和樹さん(34)が、「ついついおかずをたくさん詰めてしまう」日替わり弁当(600円)と、ササミ唐揚げ(5個300円)を販売する。

日替わり弁当と片栗粉の衣で揚げる看板メニューの唐揚げを持つミヤタの宮田店主

同店は町のさくら祭りや産業祭などのイベント出店と各地の祭り、各団体の総会などで頼まれる仕出しを収益の柱としてきた。コロナで売り上げは半分以下に。飲食店ではないため時短営業に伴う協力金ももらえない。

個人相手の注文弁当で苦境をしのぐ宮田さんに「すーぱーかーやきいも」の原田輝和さん(52)が、街道沿いにある自社の敷地でキッチンカーの出店を提案し、春先から販売が始まった。

イベントなどを通して同店の味を知る人は多く、出店情報を聞きつけた客が週末ごとに通ってくる。早いときには30分で完売することも。予約、取り置きが便利。042(597)7265まで。

ドリームカーから150㍍ほど先、水色のかわいらしいキッチンカーでは、宮田屋の宮田芳行さん(73)が広島風お好み焼き(600円)とミニピザ(400円)を販売する。

宮田屋のキッチンカー

近くにあった実店舗は昨年閉店。のんびり隠居生活を楽しむ気だったが、「仕事しないとボケちまう」とキッチンカーで営業を再開した。原則水曜〜日曜の13時過ぎ〜19時営業。臨時休業の日もあるため店先の赤い提灯を営業の目印にしてほしいという。

最後にもう1店。手作り総菜の「kitchenおひさま」が月曜、火曜の12時〜14時と16時30分〜19時、ドリームカー内のカフェで日替わり弁当と総菜を販売する。

kitchenおひさまの日替わり弁当2種

野菜ソムリエの小林優子さん(43)が毎回、肉・魚の主菜と野菜を中心にした副菜5種を用意。毎日食べたくなるような安心安全な家庭料理を心がけ、化学調味料は使わない。だしを上手に使った味付けは薄めでも満足感がある。晩のおかずに1、2品加えたいと仕事帰りに総菜を求める女性客が増えている。

弁当は主菜と副菜2品で700円、3品で800円。総菜は100㌘200円。

出店場所を提供するなどして周囲にテイクアウトの営業を広める原田さんは「いろんなジャンルのお店が増えれば相乗効果で売り上げが伸び、地域の人にも喜んでもらえる。コロナで飲食業は大変な時期だが、助け合って乗り越えていきたい」と話す。原田さんも出張販売の予定がない土曜、日曜、祝日にドリームカーで「すーぱーかーやきいも」を販売している。