あきる野市 南沢あじさい山に工房 お父さんの花でドライフラワー

「お父さんのアジサイにもうひと花咲かせたい」とリースを作る和江さん

南沢あじさい山(あきる野市深沢)の敷地内に10日、ドライフラワー工房cazue(カズエ)がオープンした。晩夏から秋に切り集めて乾燥させた山のアジサイをフジツルなどで束ねて作った大小さまざまのリースを扱う。

工房を営むのは森崎和江さん。山の持ち主、南沢忠一さん(91)の長女で、父を補佐して庭の手入れや山の管理に携わっている。8月末、まだ咲いているうちに剪定し、そのまま山の堆肥になっていた花を見て、「お父さんのアジサイがもったいない。もうひと花咲かせたい」と5年ほど前からドライフラワー作りに取り組んできた。

一口にドライフラワーといっても奥が深い。長持ちするリースを作るには花選びと乾燥が肝要という。まずは秋、花の色が濃くて花びらの硬い花を選ぶ。その花を直射日光が当たらず風通しのいい部屋に逆さに吊るし、きっちり乾燥させてから使う。乾燥が不十分な花は色落ちが早く、カビが生えることもあるからだ。竹の細枝や南天の実、ネコジャラシなどリースの素材になりそうなものは庭仕事で気づいたときに集めて干しておく。

これまでリースは知人に披露する程度だったが、近所に住む田川登美子さんに価値を見出され、田川さんの後押しで販売することに。値札やフライヤーも田川さんが作り、土に還る素材だけを使っていることから「里帰りするリース」という名前までつけてくれた。リースは時とともに色があせてくるが、その変化も含め1年は楽しめる。翌年、持参し山に「里帰り」させる人には、あじさい山の入山券をプレゼントする。

和江さんは「もともとお花が大好きで、お父さんのアジサイを最後まで楽しんでもらいたいという気持ちから始めたこと。見てもらえるだけでもうれしい」と見学のみの客も歓迎する。

9日に開山したあじさい山のアジサイ

工房はあじさい山営業期間の7月上旬まで、8時〜17時オープン予定。あじさい山の入山料は大人500円。問い合わせは042(596)0797まで。(伊藤)