玉堂の描く日本の四季 玉堂美術館で7月25日まで

トンネルの先に深い奥行きを感じる「二重石門」

吉野街道沿いの御岳橋交差点から青梅方面にすこし行くと、2つの短いトンネルが続く。このトンネルがコンクリートで舗装される前の風景を川合玉堂が描いた「二重石門(1957)」が、玉堂美術館(青梅市御岳)に飾られている。同館の小澤芳郎主事は「工事をするのに1つのトンネルにした方が楽だったようだが、わざわざ玉堂の描いた風景を残したと言われている」と話す。

この絵は、同館で8日から7月25日まで開催されている、開館周年記念展第2弾「玉堂の描く日本の四季」で展示されている。

二幅対の屏風絵「春宵(1938年)」は、一幅におぼろ月が、もう一幅には柔らかな月光に照らされた山桜が妖しく咲いている様子が描かれている。精緻で狂いのない写実性が玉堂の一つの特色だが、「春宵」からは玉堂が感じとった、その場の空気そのものまで伝わってくる。

雪景色を描いた「川岸雪霽(1955年)は、墨線の濃淡により余白が浮かびあがり、降り積もった雪の質感が見事に表現されている。

「通常の展示では、季節に合わせた玉堂の絵を飾る。記念展は、コロナ禍でなかなか遠出をすることができない皆さんに、日本の四季を楽しんでもらいたいと企画した」と小澤さんは話す。

開催時間は10時〜17時(入館は
16時30分まで)。月曜定休。入館料は大人500円。問い合わせは0428(78)8335まで。(鋤柄)