面打ち30年以上の若き職人 新井達矢 能面展 東秋留駅そば クラフトサロン縁で22日~

自宅に併設された工房で、般若の面を持つ新井さん

38歳にして面打ち歴32年の新井達矢さん(羽村市神明台)の展覧会「新井達矢 能面展」が22日~27日、東秋留駅から徒歩1分の場所にあるクラフトサロン縁(あきる野市野辺)で開催される。新作を含む能面や狂言面、約10点を展示。実際の面を10㌢程のサイズに縮小した小品の販売も行う。一部の小品の彩色は、妻で絵本作家のきよはらえみこさんが担当した。

出展作品の小面。2021年制作

室町時代から受け継がれてきた面を忠実に再現することが、現代の面打師の仕事だという。一般的なヒノキよりも軽く、柔らかいキソヒノキをノミで手彫りして作る。先人たちが残した面を模刻し、より再現性の高い面を目指している。

羽村市出身で、地元の祭囃子でひょっとこ踊りを見て、面に興味を持った。テレビ番組で面打師の大家、長澤氏春さん(2003年没)を知り、展覧会を見に行った。幼い子どもが面を食い入るように見る姿が珍しかったのか長澤さんに声を掛けられたのをきっかけに、6歳から本格的に面を作り始めた。後に長澤さんを師事するようになる。

同年代の仲間からも刺激を受けたいと、東京造形大学彫刻科へ進学。現代彫刻も学び、面作りの技術に磨きをかけた。22歳で新作能面公募展で最高峰の文部科学大臣賞奨励賞を史上最年少で受賞。

現在は面の制作だけでなく、能楽師や美術館からの依頼を受け、修復も行うなど、プロの面打師として第一線で活躍している。

新井さんは「信頼される仕事を続けていきたい。今後は、修復の技術をさらに磨き、文化の保存にも力を入れたい。会期中はなるべく在廊するので、ぜひ足をお運びください」と話す。

開催時間は11時~17時。問い合わせは042(558)4827まで。(鋤柄)