あきる野市 二宮商栄会 卓上カレンダーで地域PR 写真は里山撮る写真家 上野純さん

カレンダーの表面(右)と裏面の一部

あきる野市の二宮商栄会(井上泰樹会長)はこのほど、2022年の卓上カレンダーを作成した。同会のプロジェクトで完成したあきる野産コシヒカリの日本酒「八重菊」と地域の事業所をPRする内容。500セット作り、会加盟の16店舗と農協、郵便局で得意客に配布するなどして活用する。

カレンダーは、表面は「八重菊ができるまで」をテーマに上野純さん(同市二宮)が撮った田んぼの写真、裏面は高木裕美さん(同市野辺)が描いたチョークアートの店舗看板で構成されている。

企画担当の石川和人副会長は「八重菊とニ宮商栄会、PRしたいものどうしをコラボさせた企画です。表、裏、両面から地域の取り組みを知ってほしい」と話す。(伊藤)

里山撮る写真家 あきる野市 上野純さん

日本の自然写真コンテストで2015年にソニー4K賞を、17年に前川貴行賞を受賞した上野さん(小川の田んぼで)

 同PRカレンダーで、企画者の二宮商栄会の依頼を受け写真を担当したのが、同地区に住む上野純さん(42)。ここ10年ほど、里山をテーマにあきる野を中心とした多摩地域の風景や生き物を撮影している。

 カレンダーに使った写真は撮り下ろしで、今年1年かけて撮影した。八重菊の原料を生産する小川の水田地帯は住宅地のそばにあり、ガードレールやアスファルトなどの人工物が目に付く場所。いわゆる農村地帯のような「絵になる写真」は撮れないと覚悟していたが、構図を工夫することで「なんとか様になった」。

 写真好きの父親にカメラを譲ってもらったのをきっかけに、高校生くらいから写真を撮り始めた。

 里山を撮影のテーマに据えたのは、写真を通して「里山」の概念を世に広めた今森光彦さんの作品と出合ってから。それまでは20代前半の日本縦断自転車旅で見た北海道の広大な景色や沖縄の多様な自然に魅了され、身近な地域を撮影対象とは捉えていなかった。

 今森さんの著書を読み足元に目をやると、北海道や沖縄のような華やかさはなくとも「山も川も田畑もある。意外といろいろあることに気づいた」。近場のフィールドに繰り返し足を運ぶうち、四季折々の里山を深掘りすることに面白みを見出した。

 人物写真はほとんど撮らない上野さんだが、理想とするのは「どこかに人の気配が感じられる写真」。田んぼの脇の農機具や稲のはざかけ風景から、人の温かみのようなものが伝わったらうれしいという。

 「写真家上野純」で公式サイトを運営。写真はインスタグラム(@tama_tama_photo)にも投稿している。(伊藤)