あきる野 小峰ビジターセンター 都絶滅危惧種の観測に成功 環境指標生物チョウ類を観察

オオムラサキ。夏には樹林地を飛び回る

 あきる野市留原の都立小峰公園を管理する小峰ビジターセンター(畑田幸憲センター長)は、環境省生物多様性センターが日本におけるさまざまな生態系の変化を調べるため全国約1000カ所に設置したモニタリングサイトの一つとして活動している。3年前からチョウ類の観測を始め、約70種を観測している。都の絶滅危惧種に指定されるオオムラサキの観測にも成功した。

 チョウ類は環境の変化に敏感であることから「環境指標生物」と言われている。特定のチョウを観測することで、大掛かりな調査をせずに身近な環境の変化を知ることができ、気候変動や都市化の影響の把握、将来の自然保全に役立てることが可能だという。

 同事業に取り組むのは、同センターの職員と、「小峰公園ボランティア」の皆さん。チョウが活発に活動する4月〜11月に月2回の観測や、それぞれのチョウが好む植物を保全するなどの環境作りも行っている。冬季期間は落ち葉の裏に潜むオオムラサキの越冬幼虫の調査し、樹木の根元に落葉を集めネットをかぶせるなど幼虫を守る活動もしている。

 総面積10㌶程度の同園がチョウの観測に適しているのは、草地や畑、谷戸田、雑木林、スギ林などの多様な環境があることが要因だという。畑田さん(39)は「都立公園でも、これほど多くのチョウを見られることは珍しい」と話す。

 モニタリングサイトとしての活動は来年度で終えるが、チョウの魅力を伝える活動は続けていくという。畑田さんは「チョウは見た目の美しさだけでなく、継続的な観察によって季節の移ろいも楽しめる。時間をかけて観察すればするほど奥深く、周囲の自然環境や人間の生活との関わりに気づける。チョウを観察してもらい、里山環境の保全活動にも関心を持ってもらいたい」と語った。(鋤柄)