檜原村 メイドインヒノハラのじゃがいも焼酎発売 25度、限定220本

完成した「ひ乃はら物語」を手に笑顔の山口会長、坂本村長、吉田社長(右から)
完成した「ひ乃はら物語」を手に笑顔の山口会長、坂本村長、吉田社長(右から)

 檜原村のジャガイモと水を使い、村在住の杜氏が村内の施設で造った、メイドインヒノハラのじゃがいも焼酎が2日、220本の数量限定で発売された。坂本義次村長が議員時代から20年以上、温めてきた夢がついに実現した。(伊藤)

 際立った土産物のない村に特産品を作ろうと、坂本村長がじゃがいも焼酎の製造を思いついたのは20数年前。村長に就任した2003年から取り組み、06年に商品化するが、酒税法の縛りから他県の酒造会社に製造を委託せざるを得なかった。

 「村の気候風土で、村の水で造らなければ、正真正銘のメイドインヒノハラにはならない」とその後も国や都に働きかけ、19年に焼酎特区の認可を取得。製造量の規制が緩和され、10㌔未満の少量でも村内で焼酎を造れるようになった。

 新たなじゃがいも焼酎は同村小沢に昨年7月オープンしたものづくり拠点「ひのはらファクトリー」で、指定管理事業者のウッドボックス(同村樋里、吉田光世社長)が製造した。原料のジャガイモは檜原地区じゃがいも栽培組合(鈴木留次郎代表)が栽培。男爵を中心に1・7㌧を使い、アルコール度数40、25、12の3種類が完成した。

焼酎のラベルは坂本村長が揮毫
焼酎のラベルは坂本村長が揮毫

 瓶に貼ったラベルの商品名は坂本村長が揮毫。裏から見ると、村を代表する名所の一つ、小林家住宅のムラサキツツジが浮き上がる。「この美しい風景は瞬間的には作れないもの。焼酎を飲みながら、村の人たちが長い時間をかけて紡いできた物語、この先に続く物語に思いを馳せてもらえたら」と吉田社長はラベルに込めた思いを明かす。

裏には小林家住宅のムラサキツツジの写真を印刷
裏には小林家住宅のムラサキツツジの写真を印刷

 製造施設は吉田社長が杜氏の研修を積んだ東京都青ヶ島にならい、少量多品種製造に適した設備をそろえた。今後は自家栽培のジャガイモで造る「マイ焼酎」の企画も実施していくという。

 発売前の1月26日に試飲した坂本村長は「20年来、描いてきた夢が実現し、これほどうれしいことはない。味もおいしく仕上がっている」と満足の様子。自身の誕生日に発売日が重なったことについて「毎年2月2日に自分がしてきた仕事を振り返ることができるなんて幸せなこと」と話した。

 焼酎は25度を先行販売。ひのはらファクトリーのほか村内の酒販店で1本(500㍉㍑)2420円で扱っている。追って40度、12度も販売する。問い合わせは042(588)5170ひのはらファクトリーまで。