西多摩のローカル手ぬぐい6選〜五日市憲法、地名の逸話、地場産業、農産物など
五日市憲法が分かる
羽村幸子さん 羽村市
明治14年、仙台藩出身の千葉卓三郎が民主的な国の在り方を切望して書いたとされる憲法草案「五日市憲法」の概要が1枚の手ぬぐいにまとめられている。
右半分に、代表的な条文、憲法の概要や千葉の半生がまとめられ、左には千葉が故郷を思い書いたとされる漢詩が書かれている。
千葉の魅力に取り付かれ、大河ドラマ化を目指し活動する「タクロン・チーバー普及協会」の羽村幸子代表(53)がデザイン。羽村さんは2019年に地元有志と短編映画「みんなの憲法」を制作した。「多くの人に五日市憲法と千葉のことを知ってほしい」と、手ぬぐいの制作を企画した。
羽村代表は「五日市憲法を知る入り口になればうれしい。地域の土産物として広めたい」と話した。
770円。瀬音の湯、喫茶・ギャラリーおいわけ、黒茶屋、羽村市観光協会で販売。問い合わせは090(6547)2291事務局・関美智子さんまで。(藤野)
地名の逸話をモチーフに
伊藤弘二さん 奥多摩町
奥多摩町鳩ノ巣の地名には逸話がある。明暦の大火(1657年)で荒廃した江戸復興のため、奥多摩の木材を多摩川に流し、江戸に運んだ。渓谷付近には人夫が寝泊まりする飯場小屋が建てられ、水神社が祀られた。この神社につがいのハトが巣を作り、それを村人たちが愛護したことから「鳩ノ巣」という地名が付けられた。
つがいのハト、水神の滝などをモチーフにした「山の手ぬぐい(はとのす)」を手掛けたのは、2018年に同町棚沢に移住した画家、伊藤弘二さん(59)。
集落での生活を通し、人の温かさ、自然の豊かさに触れ、鳩ノ巣の魅力を伝えられる土産物を何か作りたいと考えるようになった。昨年5月に鳩ノ巣駅からほど近いカフェ山鳩で展覧会を開くことになり、手ぬぐいを制作した。
モスグリーン、ピンクベージュの2色で各2200円。カフェ山鳩(同町棚沢)、はとのす荘(同)で販売。(鋤柄)
地域産業を支えた炭柄
「きれ屋」 あきる野市
販促品や記念品を製造販売する「きれ屋」(あきる野市五日市、安藤諭社長)が手掛けた、炭の断面をデザインに用いたオリジナル手ぬぐい「むさしいつかいち」。江戸時代、燃料源として重要だった炭は、現在の伊奈と五日市で盛んに取り引きされていた。
安藤社長が「あまり知られていない五日市の歴史をテーマにご当地手ぬぐいを作ろう」と考案し、2021年に発売した。
「炭」、「杉」、「川」の3種類(各1320円)。問い合わせは042(596)5144まで。(藤野)
目を引く種のデザイン
野村植産 あきる野市
野村植産(あきる野市油平)の手ぬぐいは、さまざまな野菜の種をモチーフにした種苗店らしいデザイン。中央下に先代の野村正夫さんによる店名ロゴと、上には「よいタネ・よい苗」のキャッチフレーズを配した。
現店主の野村辰也さん、幸子さん夫妻が、先代から店を引き継いだ2017年に作った。「長く来てくださっているお客さんに喜んでもらえるものを」と考え、農作業の必須アイテムともいえる手ぬぐいにしたという。
デザインを担当した幸子さんは「先代のロゴに新たなデザインを描き加え、末永くご愛顧いただけるようにとの願いを込めた」と話す。
紺、グレー、黄の3色で各800円(税込)。問い合わせは042(558)6551まで。(伊藤)
檜原の農産物が躍る
染工房シゲタ 檜原村
繁田泰治さん、あきのさん夫妻が営む染工房シゲタ(檜原村)のローカル手ぬぐいは、村でとれる農産物がモチーフ。ジャガイモ、マイタケ、ユズ、こんにゃく芋、ルバーブなど多彩な作物が布の上で踊る。作物の柄に紛れ込む村公式キャラ「ひのじゃがくん」を探すのも楽しい。
村観光協会が5年ほど前に作成した、村内の飲食店を紹介するパンフレット「ひのはら村のごはん」に使われたデザイン。布全体を藍で染めた後、柄の地色を白く抜く「抜染 (ばっせん)」と呼ばれる手法を用いている。
手ぬぐいはほかにカバやペンギンなどの楽しい図柄や、松、竹といった渋めのデザインがそろう。手描きを含む柄は1点ものの風情がある。2750円。(伊藤)
縞模様が美しい
壺草苑 青梅市
縞模様のグラデーションを藍染で表現した、藍染工房壺草苑(青梅市長淵)の手ぬぐい。溝の入った板で布地を挟み、力を加えて染料に浸け込み、染め上げる「板締め絞り」という技法で作られている。
藍染はタデアイという植物の葉を乾燥、発酵させた天然染料を使う。美しく染め上げるため、藍液に浸けたり、洗ったりする工程を10回以上繰り返し、丁寧に作られている。
3630円。問い合わせは0428(24)8121まで。(藤野)
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