青梅 ホットマン 驚きの吸水性「1秒タオル」

「1秒タオル」のひとつ「ホットマンカラー」の陳列棚(青梅店)。「1秒タオル」の総販売数は1000万枚を突破した
「1秒タオル」のひとつ「ホットマンカラー」の陳列棚(青梅店)。「1秒タオル」の総販売数は1000万枚を突破した

 濡れた部分にそっと押し当てるだけで、速やかに水を吸い取ってくれる。13日に発売10周年を迎えたホットマンの「1秒タオル」は吸水性が非常に高いタオルだ。1㌢角に切った試験片を水に浮かべた時、1秒以内に沈み始めることからネーミングされた。

 青梅と川越にある計5カ所の工場で、タオルを織る、染める、洗うなどタオルにかかる製造工程のすべてを自社の職人が手がける。吸水性に大きく影響するのが洗いの工程。川越の良質な地下水を使い、4〜5時間かけて油成分や不純物を丁寧に取り除くことで綿本来の持つ吸水性を高め、「1秒タオル」を生み出した。

 優れた吸水性に加え、柔軟剤や塩素系薬剤を使わない環境面へのこだわり、持続する柔らかな肌ざわりと持ちの良さが同社のタオルの特長とされる。

 「長持ち」は、経営的にはマイナスの側面も併せ持つが、「ギフトとして利用されることの多い商品。ギフトは贈り手の気持ちが表れるもの。すぐにだめになるものは作りたくない」と坂本将之社長(46)。品質の良さが信頼につながり、それは後々経営に跳ね返ってくると考える。

岡山市出身の坂本社長。ジーンズ好きから発展して信州大学繊維学部に進学。「製造から販売まで全て手がける会社」を探しホットマンに入社した
岡山市出身の坂本社長。ジーンズ好きから発展して信州大学繊維学部に進学。「製造から販売まで全て手がける会社」を探しホットマンに入社した

 明治元(1868)年に創業し、今年で155年。坂本社長は15年、社員昇格により同社の前進の梅花紡織設立(1951年)から数えて7代目の社長に就任した。

 薬剤に頼らない製法や可燃ごみを固形燃料化して再利用するなど、同社が時代に先がけて取り組む環境に配慮したものづくりにSDGsが追い風となり、就任以降は安定した経営が続いた。

 さらなる成長を目指していた20年、突如として新型コロナ禍が直撃。多くの直営店が入る百貨店が4月から2カ月間休業し、百貨店の売上はゼロに。坂本社長は5つの自社工場と68の直営店、400人の従業員を抱え途方にくれた。

 支援策の活用などで乗り越えるも、その後も感染の波が来るたびに大きな打撃を受け、コロナの収束と同時に今度はエネルギー・物価高が襲う。個人消費力が落ちている状況で、売上は戻り切っていないという。

 そんな中、比率は小さいながら急速に売上が回復してきているのがBtoBの領域という。他社とのコラボレーショングッズや周年行事の記念品として、同社のタオルにオリジナルのロゴを入れるなどして使ってもらえるケースが増えている。

 台湾やタイなどアジア圏への進出にも挑戦しており、海外を含めて今後はさらに販売の裾野を広げていきたいという。

 「弊社は織物業で創業した会社。かつて織物で栄えた青梅の地にあり続けることで、地場の歴史を伝えていく使命もある」と坂本社長は、苦境にこそ歴史の重みを背負い、前を向く。(伊藤)

旅行券10万円分当たる 「1秒タオル」体験エピソード募集

 ホットマンは13日に「1秒タオル」の発売から10周年を迎えたのを機に、タオルを使った感想や家族との思い出など体験エピソード(目安400文字)を募集している。優れた応募には10万円分の旅行券(1点)をはじめ豪華1秒タオルなどの賞品が贈られる。

 エピソードタイトルと、内容に関連した写真(同社製品が写り込んでいるもの)を添え、10周年特設サイト内の応募フォームか郵送で応募する。名前(ふりがな)、ペンネーム(任意)、年齢、電話番号、メールアドレス、住所(都道府県のみ)を明記。郵送先は〒198—8522青梅市長淵5—251ホットマン㈱1秒タオル10周年事務局。

 応募期間は来年1月13日まで。審査結果は2月中旬、同社サイトで発表予定。問い合わせは0120(29)6900お客様サービス課まで。