羽村市 直葬・家族葬専門で創業10周年クレアーレ藤塚社長 誠心誠意のお見送り「私の使命」

「生まれ変わってもこの仕事をしたい」と葬儀への熱い思いを
語る藤塚社長
「生まれ変わってもこの仕事をしたい」と葬儀への熱い思いを 語る藤塚社長

 直葬(火葬式)・家族葬といった小規模の葬儀に特化し、西多摩直葬センターを運営するクレアーレ(羽村市神明台、藤塚貴志社長)は2月、創業10周年を迎えた。
 「直葬・火葬式」は、通夜や告別式を行わず火葬のみで故人を見送る葬儀形態。10年前は同業者からの反発が強かったが、コロナ禍で葬儀の簡素化が進み、大手葬儀社も直葬を手がける時代になった。分業制を敷く大手に対し、同社は事前相談の段階から全ての工程を一人の担当者が通して受け持ち、誠心誠意お見送りすることですみわけを図る。
 社長の藤塚さん(46)は、葬儀社でのアルバイトを機に19歳で葬儀業界に入った。そこで火葬のみの低額な葬儀の扱い方に疑問を感じた。「人が一人亡くなったという状況は同じなのに…」。当時抱いた違和感や憤りが直葬をメインに扱う原点となった。
 「直葬のスペシャリストになりたい」と思う一方で、多くの現場を経て「お客さんにとって直葬は見送りの選択肢の一つ」という認識が強まった。依頼者の希望をかなえるには、小規模葬儀の中にも選択肢があった方がいい。
 そんな考えで始めた「お別れ葬」に、ここ数年依頼が増えている。儀式は行わず、火葬前に1時間のお別れの時間を設けて家族で自由に過ごしてもらうもの。例えば故人の好きだった音楽を流したり、故人の顔周りを明るい色の花で飾ったり、家族が望むやり方で見送りができる。
 藤塚さんは「一番大事なのはお客さんがどうしたいかということ。どんな形態であっても、誠心誠意お見送りすることが自分の使命」と認識し、今後は直葬に軸足を置きつつも、求められれば一般的な葬儀も手がけていくという。
 とはいえ妻順子さんとの2人体制では対応が限られる。この10年で築いた関連業者や志を同じくする同業者との信頼関係を土台に彼らとの協力体制を整え、外部の力を借りながら手がける葬儀を充実させる考えだ。
 依頼の電話はいつ鳴るか分からない。夜間、早朝の対応も少なくないが、「全く苦にならない。生まれ変わってもこの仕事をしたい」と藤塚さん。この先の10年も全力で走り続ける。