とんかつ藤乃木あきる野に移転 小平で53年営業の名店
小平市で53年間営業してきた名店「とんかつ藤乃木」が3月、店主の地元あきる野市横沢に移転オープンした。仕込みの段階で丁寧に筋切りをした国産豚のとんかつはロースもヒレも「やわらかい」と好評で、昼時の店内は常に込み合っている。
店主の森井亨さん(63)が師匠と仰ぐ前店主で小平店のオーナーが他界し、店の入ったビルが売却されたのを機に2024年の暮れに小平店を閉店。小平時代の味はそのままに、自宅の座敷を改装して妻貴世さん(61)と新たに店を始めた。森井さんは1984年に小平店で働き始め、2007年からは2代目として店を切り盛りしていた。

名物はふぶき、大エビ
小平時代から続く看板メニューは、とんかつの上にたっぷりの大根おろしが乗った「ふぶき」。専用の酢醤油も相まってさっぱりとした味わいだ。全長約25㌢、衣の先端までしっかり身が詰まった大エビも新たな名物として打ち出していく。

ふぶきヒレ=写真左=1800円、ふぶきロース1700円
※写真はとんかつメニューに並サイズのエビを追加したもの

小平市といえば一橋大学のサテライトキャンパスや津田塾大学、武蔵野美術大学などがある学生のまち。学生仕様でごはんもキャベツも大盛りで提供するのが藤乃木流。あきる野に移ってもそのサービス精神は変わらずボリューム満点だ。
店は大通りから離れた住宅地の奥まった場所にある。「この立地ではそんなにお客は来ないだろう」と、のんびりスタートを決め込んでいた森井さんだが、周辺に飲食店がないこともあって地域の歓待を受け「思った以上に繁盛している」。地元の友人など強力な応援団に加え小平時代からの常連客も一定数来ている。
この地で最低10年店を続けるのが目標。「当たり前の作業を丁寧にするよう心がけ、お客さんに喜んでもらえるとんかつを提供していきたい」と話す。
営業時間は11時〜18時。月・火曜定休。テイクアウト可。駐車場あり。予約・問い合わせは070(1407)1129まで。 (伊藤)