江戸の粋 黒八丈を展示販売 糸工房「森」で22日~ あきる野市
泥染めの絹織物「黒八丈」で作ったショールや洋服、バッグなど約50点を展示販売する「糸からのプロローグ」展が22日~25日、あきる野市伊奈の糸工房「森」(森博さん主宰)で開かれる。
江戸中期から大正にかけて農家女性の副業として秋川流域で広く作られた黒八丈。地域の山に自生するヤシャブシの実を煮出して染料にし、泥に含まれる鉄分で媒染することから泥染めと呼ばれる。20回ほど染め重ねるうちに黒に深みが増し、照りが出て粋な風合いの黒になる。
化学染料の普及などにより昭和初期にいったん途絶えたが、森さん(71)が地域のお年寄りから話を聞き、史料を読み解くなどして復活させた。
手探りで泥染めに取り組み30年。失敗の中から学び、確立した方法は間違いなかったと思えるまでになった。「五日市はヤシャブシの実を使うが、八丈島にはシイ、奄美大島にはシャリンバイの樹皮を使った染め物がある。地域の植物で染める文化は昔からその土地土地にあるもの。昔の人のやり方をできるだけそのままやっていきたい」と森さんは作品を通して先人の知恵を伝えていきたいという。
展示は午前10時~午後5時。期間中、全国で唯一稼働している「張り撚り式八丁撚糸機」の作業実演も。フォト中村横に臨時駐車場あり。問い合わせは042(596)0250まで。(伊藤)