アユ遡上に大きな期待 都が日野用水堰に石組み魚道を設置
東京湾から多摩川上流部、秋川へのアユの遡上を促そうと都は、11、12両日、多摩川中流域の日野用水堰(昭島市)に石組み魚道を設置した。堰下に石を組んで流れに傾斜をつけることで魚が上りやすくなる。石と石の隙間に水の力をいなす効果があり、洪水にも強い構造だという。
石組み魚道は岡山県、福岡県の河川で採用され、関東では群馬県の神流川に設置されている。都内の河川では初。流域自治体の首長、議員、漁協らでつくる「江戸前鮎を復活させる地域協議会」(座長・井上信治衆院議員)の働きかけで実現した。
作業は魚道研究の第一人者、日本大学理工学部土木工学科の安田陽一教授の指揮で行われた。川幅200㍍ほどの広い堰の隅に多摩川周辺で採取した重さ100㌔超の石を80約個、安定性や水の流れを考慮し、慎重に積み上げた。
安田教授は「石組み魚道は江戸時代にあった石組みを復活させた工法。生き物にやさしい流れを作りながら洪水に強く、一度作れば半永久的に使える。近くにある石を使うので経済的」とメリットを説く。
都は日野用水堰の上流にある昭和用水堰(昭島市)にも今年度中に同様の魚道を設置予定。並行して効果を調査・検証していく。(伊藤)